トラムつながり

8月14日(土) ─3 下鴨

 

都会好き、電車好きとなると、このような絵葉書を買ってしまいます。

 

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CARTE POSTALE 8.7×13.6cm BUDAPEST. Apponyi place with the "Clotilde Palaces". 1910-20's

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 画面上のブタペスト市電はガンツ社製と思われるが形式などは不明。同社は1844年創業で鉄道車両の電気駆動のパイオニアとして知られる。ネット検索によればブタペストの市電網は1866年から開発され、世界最大規模との事。20世紀初めには二つの会社が運営しており、車両に掲げる系統番号の偶数はBVV社、奇数はBKVT社として表した。
 絵葉書に撮られた場所は、アポニイ広場でネオバロック様式の双子の建物であるクロッティルド宮殿の後方にドナウ川に架かるエリザベート橋のゲートを確認できる。宮殿は鉄骨を石で覆った構造で、王冠のレプリカ状のものを屋根上に置き、エレベータ設置やガラス窓など、豪華さの象徴として当時の市民に親しまれた。ピューゲルの角度からすると市電は遠ざかると推測。

 

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ブタベストのデウナ通り 2018.6(グーグルより引用) トラムの設備は撤去されています。

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CARTE POSTALE 8.7×14cm MARSEILLE Rue Canneblène 1910-20's 

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 マルセイユ市電のルーツは1876年営業開始の馬車鉄道。路線の電化は1892年からで、1914年には100系統以上合計167kmの路線網に発展した。1950年以降は時代遅れとみなされるようになったが、大規模な改良工事を経て2007年以降復活。斬新な車両が投入され魅力的。

 ネット検索をしていたら國府久郎氏の論考「20世紀初頭マルセイユにおける路面電車ネットワークと都市化──絵葉書の分析を通じて(PDF) (『歴史地理学』2014.9)に遭遇。氏は「絵葉書における路面電車のイメージ」の章で、「遠近法を用いた写真絵葉書は無数に残されているが、路面電車と線路はその場面により立体感と躍動感を与えているかのようである」「カンヌビエール通りが主題の絵葉書では、マルセイユの写真家や版元は路面電車の架線に価値を見出し強調したー(略)ーこの地方大都市では、電線と電柱は科学技術の進歩の象徴として絵葉書に写し出されたのであった」と論じ、なるほど、その通りと絵葉書収集に邁進する、わたくしなのです(笑)

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マルセイユのカンヌビエール通り 2019.5(グーグルより引用) トラムの設備は撤去されています。