六角通富小路東入の宮脇賣扇庵で「京都日本画家による扇子展」が催されている(8月30日(月)迄)。二階に残る富岡鉄斎らの天井画も拝見したいと思い、出かけた。宮脇さんのお店は創業文政六年(1823年)、初代は岐阜のご出身。六角堂の参拝人のためにあった扇子屋の集落の一つに加わられたと云う。現在の店舗は2004年から現在地に移転(以前の店舗を撮った写真、探せばあると思うのだけど)。
蛤御門の変(1864年)で店舗を消失、京都の明治文化財として知られる天井画は三代目の時代に制作、そして、旧店舗から現在地に移し替えたと聞く。「賣扇庵」の号は富岡鉄斎の命名で、四条と三条の間にあった有名な桜の名前に由来。扇は末広がりでおめでたい席には必ず使われる。宮脇祥三氏は1998年のインタビューに「大体、図柄に作家の名前が入っていないんです。これは職人さんと加工する人、我々が一体で作りますので、壁にかけて眺めることもできますが、誰かの作品として眺めるより工芸品として眺めるのが私は好きなんです」と答えている。
お店のリーフに一句あり「ひらかぬは 風のつぼみの 扇かな」よろしいな。
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おめでたい柄の扇はよろしおすな。
菊池芳文、河辺華拳など
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天井画が素晴らしい本店二階。現代の作家作品が飾られている。個人的にはおめでたい柄、オーソドックスな柄に惹かれた。
天井を見上げると京都画壇四条派の土佐光武、富岡鉄斎、小沢文隆、西村秀岳、橋本菱華、三宅呉暁、山本春拳、浅江柳喬、森雄三、浅田霍文、菊池芳文、河辺華拳らの扇画、他に竹内栖鳳、田能村直人、神坂雪佳、木嶋櫻谷等48人が描いている。鏡に映る様も拝見できて、お店の方も優しい対応。拝見だけで購入までに至らない者にも、親切です。ありがとうございました。尚、店内撮影、ブログ紹介は許可をいただきました。
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アールヌーボー華やかな時代の輸出品(?)、店名があるから特注ですな。パッサージュ ギャルリ・ヴィヴィエンヌのカミアはリゴー社が1906年に発売した女性用香水、店舗の6番地は、現在はどうなっているのかしら。どんな香りがそよぐのか、彼の地の気候との相性を思ったりして、御婦人の手元を想像してしまいます。
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