『MAN RAY / 曼・雷』展 at 北京

f:id:manrayist:20211007124818j:plain

 Bunkamura ザ・ミュージアムで9月6日まで開催されていた『マン・レイと女性たち』展の作品が、中国に渡り北京の美術館・木木美术馆(M WOODS MUSEUM)で展示されている(会期は10月1日から来年の1月2日迄)。同国の国慶節休暇に合わせ多くの観客が訪れたと云うが、展示の様子などが判らなかったので紹介が遅れてしまった。

 「マン・レイ」の中国語表記は「曼・雷」。これまでも、ネット検索しておりましたが、いよいよ、彼の国にも浸透してきましたな、競争相手が増えて恐ろしい。

 

f:id:manrayist:20211007124836j:plain

 自動翻訳の助けで簡体字をなんとなく読んでいると、「アジアではこれまでで最大規模の個展」とあって、首をかしげた訳だが、1921年マン・レイが初めてパリで個展を開催してから100周年となるのを記念しての展示だと云う。巖谷國士らの監修によって日本で同じ作品を使い「マン・レイと女性たち」の対等である関係に焦点を絞ったのとは違い、「240点以上の作品を展示し、マン・レイの多様な芸術活動を徹底的に検証、探求」するようである。

 展示やネットでの画像を観ていると、日本と同じように性的表現は穏便なものに差し替えられ(展示キャラバンに元々、含まれていませんな)、優しげな関係性に終始しているように思われる。

 

f:id:manrayist:20211007124854p:plain

---

 展覧会の副題とした「白昼纽约,午夜巴黎」は、「昼はニューヨーク、夜はパリ」の意味だと思うが、雅昌技术网の会場レポートには、マン・レイが活躍した時代・地域毎に分かれたセクションの序章に至るには「白い風船で満たされた廊下を通らねばならない」「風船回廊」が設けられ、リブレリ・シスでのマン・レイ個展へのオマージュとなっているようである。これは、楽しいアイデアですな。

 

f:id:manrayist:20211007124938j:plain

M WOODS MUSEUM 798 Art Zone D-06,No.2 Jiuxianqiao Rd, Chaoyang, Beijing

---

 木木美术馆は、コレクターによって2014年に設立された独立した非営利組織で、2020年に中国国家の正式な遺産博物館の資格が与えられ、二つのギャラリーとナイトクラブなどを持つに至った複合的な施設。ロンドンのテート・モダンなど他国の美術館とも連携し国際的な活動を展開していると云う。

 

 さて、この展覧会は北京の後、青島のTAG Art Musuemに巡回。その後、日本に戻り4月17日開催の長野県立美術館での展示へと移動する。同一作品が国によって、異なる切り口で展示される。とりあえずは、北京でのカタログの到着を待つことにしたい。