京都府立図書館

in『モダン建築の京都』展 2021.9.25-12.26f:id:manrayist:20211121141617j:plain2021.10 京都府立図書館 p.252 竣工: 1909年 煉瓦造3階建、書庫木造4層構造 設計: 武田五一 施工: 直営。阪神淡路大震災(1995年)被害により休館後、正面側外壁を保存し地上4階地下2階で新築(2001年)。旧館はルネサンス様式であるも19世紀末のセセッション様式の影響がうかがえられ、中央頂部の櫛形ペディメントやアーチ型窓、キーストンやメダイヨン、黄金色の外壁装飾など秀悦。 旧館開館時は美術館機能もあり、竹久夢二岸田劉生等の展覧会が知られる。

 

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f:id:manrayist:20211121141651j:plain螺旋階段 地下閲覧室

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 府立図書館には小生、お世話になっております。拙著『三條廣道辺り』(銀紙書房、2011年刊)執筆の頃は、ここで、戦前・地元の京都詩話会刊『詩經』『詩經2』『歌垣』や青樹社刊の山村順著『水兵と娘』、荒木ニ三著『マクベスの釜』、戦後の文童社刊による天野隆一、俵青茅、天野忠らの詩書を閲覧させていただいた。 それらの多くに寄贈印があり、俵や天野らの筆者、編者、出版人がこの場に立ち寄ったのだと、感慨深い。銀紙書房刊本の寄贈も、検討する段階かもしれない。

 

f:id:manrayist:20211128121634j:plain詩華集『詩經』京都詩話會発行 1928年 22×15.7cm PP.90

f:id:manrayist:20211128121647j:plain同、本体 
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 上掲は、後に入手した会員明石染人(1887-1959)から三木露風(1889-1964)への献呈本。収録詩人は明石の他、天野隆一、相澤等、木村皓花、児玉笛麿、小西武、佐々木博、左近司、竹内勝太郎、俵青茅、南江二郎、西川百子、山本牧彦。

 明石の詩『倒想』の一節から

ぶらまんくの風景のなかから
気の狂った教會堂の
鉛色の塔が三十度に傾いて
私の脳天に瓦落瓦落と来るやうで
あたかも闇夜に蛙を踏つけた時の
無気味さが頸筋を襲ひます。

 

 あるいは、山本の『處女』から

おとめよ、そなたは
恋をする人か ──
そなたは光暈を包む珠のやうにみえる
高貴な想念に嘆く
向日葵の花のやうにみえる………。

 

 図書館の貴重書は館外貸出不可。加えて本のカバーは無くなり、整理シールがペタリ。手にとって読めればよいのと、小生、違うのです。なので、日本の古本屋で探す日々、これを書いている最中も、いくつかのワードで検索、青樹社でもヒットします。

 

[ときの忘れもの拙稿] 『小さなカタログ、見上げる建築』 『親しげなヴォーリズ建築』