三井銀行京都支店(現・京都三井ビルディング)

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2021.11 三井銀行京都支店(現・京都三井ビルディング) 竣工:  1914年 設計: 鈴木禎次。四条烏丸角にあった旧建築の壁面一部を残しての建て替えは1984年だったらしいが、小生の記憶では曖昧。道行く者の視線辺りは壁面で、柱や塔屋、上部装飾に気が付かなかったし、銀行口座を持たなかったので一階フロアーの光あふれる空間については、残された写真で想像するだけ、設計者の鈴木禎次(1870-1941)は三井銀行建築係に所属した人で、「文部省の命を受けて1903年、イギリスとフランスに留学」。本作は独立後の仕事、名古屋の近代化に貢献した建築家としても知られ(鶴舞公園の噴水塔や奏楽堂などで、個人的に親しい)ると云う。1984年に久米建築事務所による交差点側イオニア式オーダーのファサード部分などを保存する形で建てられた現・京都三井ビルを前にしても、鈴木の仕事の魅力をたどるのは難しい。瘡蓋みたいに張り付いているだけだし、西側部分の地下通路口装飾も往時との関連が、いまひとつ分かりにくい。

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 小生、現役時代の勤務先取引銀行のひとつが太陽神戸銀行京都支店であった関係で、1990年の三井銀行との合併、92年のさくら銀行への商号変更などの過程で、取引店舗の所在が現・京都三井ビル内となった。それで、建築内部の様子もある程度、体験している。建て替え時に旧貴賓室は保管されたようで、なんどか見学した記憶なのだが(写真を撮っていたかもしれない)、はっきりしない。今回の『モダニズム建築の京都』繋がりで、確認とも思ったが良い思い出はさくら銀行の時代。「人の三井」と大阪商人とは、ちと行風に相容れない部分がありますな。 

f:id:manrayist:20211212210610j:plain四条烏丸北西角

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f:id:manrayist:20211212210622j:plain西面(烏丸通側)

[ときの忘れもの拙稿] 『小さなカタログ、見上げる建築』 『親しげなヴォーリズ建築』