ジェームス・リー・バイヤーズへの『宝石』

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The Most Beautiful Jewel In The World by Shinobu Sakagami, 2021 21×14.8cm  ed.100

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 現代美術家・バイヤーズに捧げた涙の宝石を頂戴した。坂上しのぶが2020年に上梓した愛あふれる208頁『刹那の美』(青幻社)の余韻が、強烈な色彩と手触りになって砂漠の国のピラミッドからひらひらと舞い降りて、拙宅にも飛び込んでくれた。誘うような「光」がない窓辺にもかかわらずで、ありがたい事だと感謝申し上げる。冊子好きの小生は、本文と装丁との見事な結婚に喜びを隠せない。この『世界で一番美しい宝石』は日英のバイリンガル坂上は「古代エジプトでは、心臓には知性が宿り、生前の悪事は心臓に染み込まれていると考えられていた。天秤の一方の皿には真実の羽が、もう一方の皿には心臓が置かれる」と書き。「釣り合いがとれれば……」と続く。
 クリアポケットから取り出して、金色の天秤を張ってみる。釣り合いなんてとれるのかしら、今宵は神の誕生を待ち望む時、それぞれの人は、それぞれの神を持つ。

 

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