レストラン矢尾政(現・東華菜館)

in『モダン建築の京都』展 2021.9.25-12.26f:id:manrayist:20220204232502j:plain2021.12 レストラン矢尾政(現・東華菜館) p.130-137 竣工: 1926年 鉄筋コンクリート造地上5階、塔屋、地下1階建 設計: ヴォーリズ建築事務所(W.M.ウォーリズ、佐藤久勝) 施工: 大林組。本作は京都市民のランドマークとして四条大橋西詰南側で鴨川に面し建つ。大正時代のビアレストラン・ブームの流れで、広島直送の牡蠣料理で評判だった矢尾政の2代目店主・浅井安次郎が、洋食レストラの設計をウイリアム・メレル・ヴォーリズに依頼したことで始まる。スパニッシュ様式を基調とした外観、玄関上部の魚介類をモチーフとしたバロックテラコッタ装飾、内部はルネサンス風や幾何学的模様を重ねたイスラム的装飾で飾られている。教会堂を想起させる屋上塔屋はエレベータ機械室。尚、設計段階でアルコールが提供される事をクリスチャンのヴォーリズは知らされていなかったと聞く。
 西洋料理店に風当たりの強くなった戦時下に浅井が友人である中国山東省出身の于永善に譲り渡したことで、北京料理店・東華菜館となった。本作は往時の姿を、外観の他、調度品など、料理店として使われながら状態良くとどめている点で貴重である。

 

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f:id:manrayist:20220204232515j:plain展覧会では建築図面、及びテラコッタ計画案、家具図面なども出品された。

 

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[ときの忘れもの拙稿] 『小さなカタログ、見上げる建築』 『親しげなヴォーリズ建築』