『優しいジュリエット』ときの忘れものブログ

彼は「ナチスから逃れてきたばかりで、とても寂しそうでした」とジュリエット。


POSTCARD 15.3×10.5cm 図10 ジュリー,1971 エッチング・アクアチント

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  昨日迄の一ヶ月にわたり本ブログを長野旅行の話題としてしまった。これほど長く続けるつもりはなかった事を打ち明け、まずお許し願いたい。やっと旅行の目的である、ときの忘れもののブログアップの日となった ── 題して『優しいジュリエット』読んでいただけたら嬉しい →  http://blog.livedoor.jp/tokinowasuremono/archives/53477878.html

 

 展覧会の監修者は、カタログで「自伝や伝記で知られるかぎり、マン・レイは家父長制を引きずるようなところがなく、女性を対等に見ていたようです」(p.19)と述べているが、1890年(明治23年)生まれの画家を時代に即して考えると難しく、近年の研究者は総じて彼の暴力性や支配欲求を指摘する傾向にあると思う。その上で女友達との関係を振り返りながら作品の魅力に迫りたいと考えた。もっとも、作品上のマン・レイは、有名になりすぎ、棘をなくした感が強い。優しすぎるのですな。観客としては良い作品を観たい、切実な願いです。

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 マン・レイの恋人だったアドリエンヌ(アディ)・フィドランの伝記を書いたジゼル・ピノは『黒い太陽』で「大切なのは一緒にいること。そして、愛し合うこと、笑うこと……」とコメントしている。


POSTCARD 15.3×10.5cm 図14 アドリエンヌ,1971 エッチング・アクアチント

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 上掲の2枚とも、版画集『時を超えた貴婦人たちのバラード』1971年、所収。展覧会では最終コーナーに全作を展示『フェルー通り』と『イジドール・デュカスの謎』の前段で、みなさん魅力的。