読書『運命の裏木戸』

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18×10.4 cm 296.pp 28. 運命の裏木戸 アガサ・クリスティー(中村能三訳) No.1234 早川書房 1976年2月29日3版発行 

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「本ってものは!」とタペンスは言った。
 もう堪忍袋の緒が切れた、といった調子だった。
「なんだって?」とトミーが言った。
 タペンスは部屋の向こう側にいる彼を見やった。
「『本ってものは』って言ったんですよ」
「なるほどね、その気持はわかるよ」とトマス・ペレズフォードは言った。
 タベンスの前には大きな箱が三つあった。そのなかからいろいろな本が抜きだしてある。それでも、箱にはまだ半分以上本がつまっていた。
「考えられないくらいですわ」
「本がこれほど場所をとるってことが?」
「ええ」
「それをみんな本棚にならべようってのかい?」

「どうするつもりなのか、自分でもわからないんですよ。そこが困ったところなの。自分のしたいことって、そうはっきりはわからないものですわ。やれやれ」 p.15

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 ダランス氏の店は村へ行く途中にあった。曲がり角に面していて、ウィンドウに写真が飾ってある。結婚式の出席者一同の写真が二枚、絨毯の上で脚をばたばたさせている裸の赤ん坊の写真、恋人と腕を組んだ、口ひげのある若者の写真。どれもあまりいい出来栄えではなくて、すでに歳月の足跡を刻んでいる写真もあった。 p.187

 

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 本年2月に、ブログで連載した「英国ミステリー」早川ポケミスの該当号を、やっと見つけた(三冊です)。小生ブログでのイメージは →