菊本直次郎宛絵葉書

2月の交換会で、ロンドンの王室騎兵隊司令部のあるホワイト・ホールの絵葉書を求めたのは、絵柄への興味以上に宛先が「菊本直次郎」とあるからだった。銀紙書房本の読者の方であれば『三條廣道辺り』(2011年刊)で言及した中西武夫の実父の名前だとピンとこられたのではないかと思う。養子となったので苗字が変わっているが、中西はパリでマン・レイのアトリエを訪ねた人。拙著で実父を次のように紹介した。

 「菊本直次郎(1870-1957)は三重県生まれ、津藩主藤堂家家臣菊本保有の次男で慶應義塾卒、中上川彦次郎によって小林一三と共に三井銀行に採用され、常務取締役から初代会長となた実業家。日本紙パルプ取締役。同郷の俳聖松尾芭蕉の研究家としても知られる」(20頁)

 1920年代に菊本と交流した人たちがロンドン、ベルリン、ワシントンから投函された絵葉書。こうしたものが、拙宅に集まったことに、何かの縁を感じる。

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5月も、今日で終わります。