『奢灞都館刊行 全書籍展』 at 午睡書架

ジョルジュ・バタイユ『死者』生田耕作訳 山本六三銅版画2点入 奢灞都館 1972年刊 限定250部 1番本

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 錦林車庫にある古書店・午睡書架で10月20日から11月9日まで『奢灞都館刊行全書籍展』が催された。鎌田大所蔵になる全122点のコンプリート・コレクションである。上掲の『死者』は刊行直後に神戸・元町高架下のイカロス書房で小生も購入した記憶があり、生田氏の著作、奢灞都館の刊本にも興味を持って親しんできた。20代の後半からはマン・レイ関連本に収集の傾向を絞ってしまったので、奢灞都館のものをほとんど架蔵しないまま過ごしてしまったが、一同に拝見できるとは、興奮するひとときだった。

 展覧会では記念の小冊子が発行(税込定価2,200円)され、鎌田さんは生田の活躍と奢灞都館の出版活動にふれ「バブル期を挟む野蛮な時代に孤立していた私ども青年にとって、とてもまばゆく、美と芸術の真の力を教えてもらえた希望の存在だったからです」と書いておられる。また、彷書月刊からの再録で生田かをるへのインタビューが載せられている。マンデアルグ来日時の澁澤龍彦とのエピソードにふれ「澁澤さんも逃げてきたに違いないって生田は決め込んでよろこんでいました。文学作品を読むことと、会話とは違いますが、翻訳者が作家と会って会話がヘタだったら、著者が不安がるにちがいないって思うんですかね」── ほんと、分かります。プライベート・プレスの末席につらなる気分の小生としては、費用のかかる特装・革製本に躊躇するばかり、銀紙書房はマイペースで造っていきたい。

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 これで11月も終わり、明日からは師走、「第27回KYOTO/How are you,PHOTOGRAPHY?」展もあるから、さらに忙しくなりますな。