『ドグラ・マグラ〜円環する時間』at 羊歯斎文庫

 夢野久作が著した幻魔怪奇探偵小説『ドグラ・マグラ』の世界が、昨年の東京に引き続き、ヴァージョンを変え、京都で催されている。10年あまりの歳月をかけて構想がねられ、複雑で、容易には理解できない(必要があるとして)書物世界が、見事にビジュアル化され、オマージュのような、祭壇のような空間が、私鉄電車のタイフォンが漏れ聞こえる場に、設置されている。先日、縁あって拝見させていただいたが、クラクラ目眩を覚えるほどだった。主催者が意図するところと突合させながら、「ナジャ」にも「瀧口修造」にも、60年安保の世代にもつながって、精神病院の図面に見入ってしまった。作者不詳なる『九相図』も美しい、美しいから困るのである。

 作者署名入『ドグラ・マグラ』初版、奇書『江川蘭子』など、稀覯本や印刷物、写真、オブジェ…… が織りなす、「胎児の夢」世界。小生などは多くの人が観たらよいと思うが、事前予約制の限定公開、免疫がないと「精神に異常」をきたすのかしら、ご注意あれ。

[参考] 東京での案内状 表・裏 22.3 × 11cm.  (裏面は小生が一部変更しております)