マン・レイ: イタリアの小さなカタログ ミラノ 1964

23.7 × 17 cm, 16 pp.

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Galleria Schwarz. Man Ray Objects of my affection. March 14 – April 3, 1964. Catalogue,  List of 31 Objects. Texts by Man Ray (What I am and An autobiography) and Tristan Tzara (When objects dream). 

 画廊のオーナー、アルトゥーロ・シュヴァルツは熱心なデュシャンマン・レイの研究者で、レディメードやオブジェの再制作をしたことでも知られる。上掲のカタログ『我が愛しのオブジェ』はイタリアで最初に催したマン・レイ展の折のもので、テキストは3言語(伊、仏、英)併記のトリリンガル、写真の選択やレイアウトはマン・レイの意向にそったもの、1950年代に出会った二人は周到に準備したようである。近年の研究書『レディメード・再制作』(アディナ・カミエン・カズダン著)によるとカタログの制作費用はおよそ600ドル、出品されたオブジェ31点の価格は、それぞれ、150〜400ドル。3月14日のオープニングに出席したマン・レイ夫婦は、11日の夜行列車でミラノに向かい、シュヴァルツが用意したアルベルゴ・マンゾーニに宿泊したという。

 わたしは1970年代後半にシュヴァルツ氏に在庫を尋ねたが「ほとんどをイスラエルの美術館に収めてしまった」との返事で落ち葉拾いとならなかった。小市民にはよかった訳ですな。所蔵のカタログを改めてパラパラしているとロンドンの古書店ユリシーズのレシートが挟まれていた。1996年1月の日付で35ポンド、ファックスでのオーダーと先方のメモ、手にとるとミラノの会場に居る気持ちとなって嬉しかったのを覚えている。

Via Gesù 17 − 20121 Milano

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 イタリア北部に位置するミラノは標高122メートル、人口130万の大都市でアパレル関連産業が盛ん。プラダアルマーニレイバンなどがあり、ボッテガ・ヴェネタの本社機能も同地、サッカーのインテル・ミラノの方が親しいか。画廊は中心部ゴシック教会・ドゥオーモの北東、ブランドショップが並ぶモンテナポレオーネ通りからジェーズー通りに入り、バガッティ・ヴァルセッキ美術館を越してすぐのところ。昔、東京のある画廊主から「受付嬢が極め付きの美人で、二階にあがると、ずらりと名品が並んでいて驚かされたよ、カモだと思ったんだろうな」と聞いた。羨ましいですな、カモになってみたい、ネギ背負っていないけど(ハハ)。

2023.4 グーグル・ストリートビューから引用(感謝申し上げます)