『週間朝日』第十五巻第十四号 昭和四年三月二四日発行

26頁 映画『海の星』について 「写真師 マン・レイ在パリ 竹中郁


38.3 × 26.2 cm 36 pp

---

 先日、気合を入れてヤフオクに参戦、見事落札。久しぶりの珍品で嬉しくてしかたない。1929年3月の『週間朝日』大判である。これまで古書市で同誌を見かけたりしてきたが、どの号かまでは分からなかった、なので見出しだけを確認し購入にいたらず、いろいろなお店に迷惑をかけてきた。ごめんなさい。週刊誌なので該当年の冊数が多く、大判であるため大変な作業だったのです。最後にヤフオクで見つけたのですから、本当に申し訳ないと思っている。

 上掲の号には、竹中郁がパリから送った映画『海の星』の記事が載っているのですよ、拙著『マン・レイと日本』(銀紙書房、2023年)で、外遊した竹中が「マン・レイのスタジオを訪問した目的は、創刊されたばかりの『詩と詩論』や『週間朝日』などに寄稿する場面写真を入手するためだった」と記したが、『週間朝日』については竹中の発言があるのみで、裏付けが取れないままだった。誌面をみると、『エマク・バキア』も含め3点のスチール写真が紹介されている。「写真師 マン・レイ」と題する寄稿も熱がこもり見事、劇場のうらぶれた様子や金をかけたアメリカ映画の俗悪ぶり、さらに、本作が筋のない純粋映画と前置きしながら「『海の星』は何の筋がどう運ばれたのかは全然僕にも判らなかった。しかし、『海の星』のもつ喜びと悲しみ、怒りと楽しみ、そういった感情の現れは立派に受け取った。あたかも音楽を聞いた後のように」と若い竹中が書いている。いずれ紹介したい。


下段 目次


裏表紙