デ・キリコ展 -3F

神戸市立博物館 デ・キリコ展──わたしは、謎を愛する。9月14日(土)〜12月8日(日)
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 神戸市立博物館で催されている『デ・キリコ』展に出かけた。「画家はシュルレアリスムの先駆者として歓迎された後、古典絵画に戻った新作を否定され、ブルトンらと決別した」と聞き、これまで良い印象を持っていなかった。しかし、山田五郎の解説で時代とともに変化した先験的な仕事の面を知り、観なければと思った次第。
 もっとも、ブルトンらが絶賛しているように初期作品が素晴らしい。今展では貴重な作品が多数招来れており眼福。また「陳腐な再制作画家」なるレッテルを貼られた晩年の仕事も、POP風新形而上学絵画として見直すことができた。キリコは1888年生まれのギリシャ人、18歳の頃からミラノ、フィレンシェ、ミュンヘンなどで暮らした。デュシャンより1歳若く、マン・レイより1歳年長なので、マン・レイとしても同世代としての価値観を共用できたと思う。自画像への執着、同じなのですよ。彼はブルトンより8歳年長なので、第一次世界大戦からの影響が違う、形而上学シュルレアリスムの兄ととらえてもよいだろう。「兄弟は仲が悪い」なんてね、この点に関しては資産価値の目減りに対抗したとする山田五郎の解説が興味深い。

 午睡書架の『シエステ』第4号に「マン・レイとイタリア」について寄稿したので、シュルレアリストとキリコの関係や、秋のトリノで詩的啓示を受けた透明な空と光・影がもたらす空虚感に関心を持った。もし先に展覧会を観ていたら、内容変わっていたでしょうね、イタリア、恐るべし。

『17世紀の衣装をまとった公園での自画像』1959年 ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団(ローマ)

『沈黙の像(アリアドネ)』1913年 ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館

左から『孤独のハーモニー』1976年 ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団(ローマ)、『球体とビスケットのある形而上学的室内』1971年 ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団(ローマ)

2F会場への螺旋階段
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 *会場ではパチリOK、SNS拡散OKの作品が多数あったので紹介したい。尚、サインが無粋なので画像を修正した。お許しいただけると嬉しい。