愛しのマン・レイ展 出品: 240, 239, 238 
「写真家」とレッテルを貼られるのを毛嫌いしていたマン・レイが、パリ国立図書館で写真の個展をしたのは1962年5月22日〜6月13日。前年、ヴェニスの写真ビエンナーレでの金賞受賞がきっかけであったかもしれない。国立図書館は1945年以来、ダゲールやナダールを中心とした大規模な写真コレクションを構築しており、展覧会は13回を数え、多くの寄贈を受け付けていた。
マン・レイの写真作品展は、クリシュベール、アエログラフ、レイヨグラム、肖像写真、資料など76点で構成され、ツァラやブルトンのコレクションからの出品も含まれている。特筆するのはリスト24番の『アングルのヴァイオリン』で、会場で一目惚れしたマン・レイの女友達、ロザリンド・ジェイコブスが直接購入。没後、売りに出され一枚の写真の値段としては驚くべき16億円を刻んだことである。その現場を物語る、カタログ、ポスター、案内状がここに並べられている訳、素晴らしいと思いませんか。この物語については、雑誌『SIESTE』第3号に「マン・レイのオリジナル」として詳しく報告した。→ 「SIESTE no.3」 2024年 午睡書架 | 午睡書架
ウッドマンの写真が貼り付けてあるカタログの赤い表紙について補足したい。写真(7.3 × 9.3 cm)の左下に「Man Ray - 1926」とサインがあることから、1926年に制作された写真を複写したプリントで、現在ではマン・レイ生前のオリジナルプリントと分類される。水彩紙(?)の為か糊による皺が幾筋も伸びている。マットを切って額装したら、ヴインテージプリントになってしまう ── のですよ(笑) 本文のロネオタイプ(輪転式謄写印刷機)から、表紙も同様の印刷形態だと推測、手造り感が半端ではありません。購入の経緯については 石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」 第20回 : ギャラリー ときの忘れもの で報告した。

* 会場撮影は関係者の許可をいただきました。感謝申し上げます。