
縁あってマン・レイがアメリカで初めて開いた写真を紹介する個展カタログが拙宅に到着した。本年は随喜の涙が続きます。
ジュリアン・レヴィ画廊は、ハーバード大学出身(卒業はしていない)のジュリアン・レヴィ(1906-1981)が、1931年に開いた(当初はマディソン街602番地)。レヴィはデュシャンと1926年に出会い、パリに渡ってマン・レイやアボットと交流、アボットが入手したアジェの写真展を独立前のアシスタント時代に行っている。最初期にシュルレアリスム展をニューヨークで開いた先見性を持ち、「高踏的で売れそうにない写真に興味をもった」画商。夫人はマイナ・ロイの娘、ジョエラ・ヘイウェース。肖像写真を中心にレイヨグラフや版画(回転扉)を展示したマン・レイ写真展の会期は1932年4月9日〜30日。写真を芸術作品と同等に扱う戦略を当時のマン・レイらにみている小生は出品作の特定に長く関心を持ってきた。テキストも素晴らしい。

多くのジュリアン・レヴィ画廊のカタログが小さくても人を惹き付けるのは、個展も開催したジョセフ・コーネルのデザインが効いていると思う。本作はコーネルとは言い難いが「マン・レイ」という小さな文字列の上に赤で大きく「マン・レイ」の名前、雑誌『ニューヨーク・ダダ』の意匠と似てると思ったりするのです。(期待しすぎです)