
マルセル・デュシャンの『泉』が表紙に使われている雑誌「ザ・ブラインド・マン」(1917年)が展示ケースに入っていたので足を止めた。復刻版を購入したばかりだったので、オリジナルにはオーラがあると、しばらく見入った。京近美での常設展示での企画展(キュレトリアル・スタディズ)で、学芸員がアーティストで映画監督でもある荒木悠(1985- )をゲストに迎え、同館所蔵の日系移民作家の作品を選び、戦争や不況、分断など凡そ100年前に直面した状況を見つめ直しいてる。荒木は3歳で渡米しているので、言語と映像、コミニケーションから分断ではないものに身を置く。氏は「二言語を生きる者は、喜びも二倍だが、悲しみも二倍背負う」と書く。
アルフレッド・スティーグリッツ、マルセル・デュシャン、ドロシア・ラング、石垣榮太郎、野田英夫、国吉康雄、荒木悠らを紹介するこの展覧会で、国吉の写真を沢山拝見できたのは収穫だった。それらが強制収容所を想起させる鉄製柵内に持ち込まれているのが印象的。尚、常設展示室では1986年に収集したギルバート・コレクションの新蒐集品(コレクターが最後まで手元に置いていた)が、初期収集と合わせて展示されており、写真に関心がある者には、特に興味深い展示となっている。展覧会は12月7日迄。
マルセル・デュシャン他『雑誌 ザ・ブラインド・マン』(1917年)
右: 野田英夫『風景』(1937年)
国吉康雄『鶏に餌をやる少年』(1923年)
石垣榮太郎『鞭うつ』(1925年)