MARCEL DUCHAMP

ルパンの店でナウマンさんの研究書をパラパラしておりました。もう、3月に入りましたね---

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ザヤスが剃ったと云うデュシャンの星型頭髪、先にこのブログで紹介した年記誤りの他に、散髪をする実際的な動機(毛じらみ)もあったようです。写真の背後に隠れた物語は面白いような、しょうもないような、デュシャンの袋小路には注意しましょう--- 作品化するのは別ですな。モダンプリントの展示は駒込のときの忘れもので3月6日(土)まで展示中。

 

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Marcel Duchamp: The Art of Making Art in the Age of Mechanical Reproduction by Francis M. Naumann

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こちらは、富山県美術館蔵の「罪のある風景」、旅行鞄の特装のうち、デュシャンが恋人マリア・マルティンスに贈った12番本。アーティゾン美術館の新収蔵作品として今春「STEPS AHEAD」で紹介された旅行鞄には、マリアの足裏を描いた鉛筆素描が入っているらしい(未見)。ちぎれた紙片の無造作加減、足首というか足裏というか恋人にしか見せない秘密の部位、もし両作品が並陳されたらと思うとエロティック、いいな---  「STEPS AHEAD: Recent Acquisitions展は5月9日(日)迄

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 なんて事を、珈琲飲みながら雑談するのは、よろしおす。自転車ではアルコールご法度だからね(ハハ)

ふたごのでんしゃ

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渡辺茂男作・堀内誠一絵 あかね書房 1969年(初版)

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路面電車「ベんけい」と「うしわか」のお話、鉄っちゃん・シジには微笑ましくも悲しい物語ですな。哀愁ばかりの鉄分補給ではいいけないと思いつつ、どうしても旧形車両にカメラを向けてしまいます。レゴ怪獣の名前を覚えられないですからね。

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長州藩志士久坂玄瑞の密議の角屋

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西新屋敷揚屋

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久坂玄瑞(1840-64)は、吉田松陰の弟子、幕末尊皇攘夷の急進派として島原の揚屋・角屋で密議を重ねた。蛤御門の変で壮烈な死を遂げたとの説もある。石碑は1984年建立。

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「写真の都」物語 10 ── カタログ・記念出版

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26.4×19cm pp.292 「『写真の都』物語」竹葉丈編著、株式会社国書刊行会発行、株式会社D_CODE[垣本正哉、河野素子、堂島徹]装丁・デザイン 2021年2月5日初版第1刷発行

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展覧会のカタログが一般書籍として店頭に並ぶようになり展覧会から離れて久しい。海外名画が招来される場合に多い図版と解説が対になった重いカタログ(笑)の見当はずれの論文調は、読む気をなくさせるものだが、一方で展覧会の企画意図を反映させすぎて、展示会場から飛び出してしまったカタログというのも、如何なものかと、今回のカタログを手にして戸惑ってしまった。

 現物主義のわたしは、何がどのように展示されたのかに関心を持つ。会場展示の様子を紙面に用いる例は、インスタレーション作品の場合などに見られるが、一般的ではない。カタログは初日までに準備され会場で頁を開くもの、鑑賞の手引きとなって、実際に見たもの(見ているもの)が紙面に取り上げられ、作品により深くアクセスさせるもの。──と思って本書を手にしているが、国書刊行会から発行された『「写真の都」物語』、副題「名古屋写真運動史 1911-1972」から、展覧会との関係を示す文言を多く確認することは出来なかった。そもそも巻頭「凡例」で「本書は同名の展覧会に際して制作された。ただし紙幅の都合上、同展の出品作すべてを掲載するものではない」とある記述を理解しながら、物語を読むべきであった。展覧会カタログではないのである。やれやれ。

 

 ハードカバー、26.4×19cm、292ページの本書を装丁・デザインしたのは株式会社CODE [垣本正哉、河野素子、堂島徹]、九州国立博物館などのカタログ(?)を手掛け近年注目されている。「黒」の扱いに秀でたデザイナーだと聞く。なるほど、読みやすい「白」地に「黒」文字は「序に代えて」と「目次」の4頁程に限られている。図版掲載した作品選択にはデザイン効果が大きく作用したと推測される。写真史的な観点での基準がどの程度、反映されたのか、部外者には判らない。それぞれの歴史解釈、作品嗜好があるからである。図像使用上の権利条件を含め展覧会に間に合わせるとなると厳しいものがあるだろう。初日に美術館のバックヤードに積み上げられた梱包ロットから、取り出してもらい手に取ったわたしとしては、まず、感謝の気持ちを表したい。

 

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 本書の元となった名古屋市美術館での展覧会(2021年2月6日〜3月28日)を企画したのは、写真を専門領域とする学芸員・竹葉丈。写真に限れば美術館開館時の『名古屋のフォト・アヴァンギャルド』展(1989年)から始まり『異郷のモダニズム─淵上白陽と満州写真作家協会』(1994年) 『写真家・東松照明全仕事』(2011年) 『異郷のモダニズム満州写真全史』(2017年)と続く仕事の集大成となるのが本展である。振り返れば竹葉との交流も32年に及ぶ、どの展覧会も長期に渡る調査研究の成果を披露するもので、有意義で魅力的なものであった。

 

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 本書を開く、編著者は竹葉丈。氏が6章に分けた名古屋の写真史にしたがって展開する。名古屋生まれの名古屋育ちで十代後半から写真に熱中したわたしは、後半2章の「V. 東松照明登場─リアリズムを越えて」と「VI. <中部学生写真連盟>─集団と個人、写真を巡る青春の模索」は、ほとんど当事者。これ以前の各章についてもシュルレアリスムの写真家・山本悍右との知遇から、リアルな感情がともなう。この視点で頁を捲る訳。

 別丁扉が知人の『壁』(電気メーターが並ぶ)を撮った写真なので、最初から良い気持ちなのですな。東松の卵を掴む指先も暗示的で、導入部として申し分ありません。

 

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扉写真: 『壁』1969年

 

 ──としても、感想を書いておきたい。展覧会カタログでないのは理解したが、視覚効果に重点を置いたために図版サイズ相互の比率が現物と無関係で、デザイナーの解釈が大きく作用した結果と思う。各章解説文が黒ぬき白ベタ調で読みにくく、参考図等のスキャン画像モアレが気になった。それはそれとして諦めるが、第VI章からの展開については、大きく「名古屋写真運動史」から離れ、東京へ収斂させていく画像の扱い(迫力あふれるけど)に、不満が残る。中央集権的で、名古屋を周辺に追いやると感じるのです。『足ぶみ飛行機』と『状況』の二冊については同意できるが、「VI-6運動から闘争へ」の196頁からの展開は、怒涛のプロテスト写真で『10・21とはなにか』『’69 11/13-17佐ト訪米阻止斗争』『三里塚』『この地上にわれわれの国はない』『ヒロシマ・広島・hirou-síma』と続く76頁。その間にわたしや同級生Sugiuraの頁が4,名古屋女子大学写真部集団撮影行動「郡上」が8、別丁扉にも使われた知人が1。それぞれ、前述列記の写真集の締めくくりに収めた印象なんです。

 本書で引用された写真集の全頁が紹介されているか、現在、展示・調査用に貸し出しているので確認できないが、見開き状態で多数掲載することで頁を捲る体験を与え、リフレンする拡大頁が良い塩梅、臨場感あふれるのです。「東大」や「日大」や「沖縄」の文字、頁を複写するのは、当時の学生に戻るアプローチ、匿名の群れが炎に包まれていく。他方、会場に置かれ拝見できるのは、写真集の表紙と、モニターでの頁展開。半世紀前の出来事で、ほとんどの人が現場を知らないのだから致し方ない。写真を撮った本人には複雑な感情が残っていると、伝えなければならないだろうな。 

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p.192-193 石原輝雄『高校生写真』、Sugiura Yoji『白亜の壁 高校生の記録』杉山茂太『SUD』

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p.210-211 石原輝雄『名古屋10.21』、Sugiura Yoji『'70年への饗宴』

 

 出版に資料的な価値を見出し、時代の抱えた問題、解決されるどころか、さらに分断し見えにくくなっている自由と民主主義の問題を、名古屋にとどまることなく提起したことは、本書の多大な成果となっている。名古屋人としては、わたしたちが撮った写真を使って欲しかった(沢山あるのですよ)、プロテスト写真集の異常な高騰(5〜10万円の値が付く)を知っている身としては、やりきれない気持ちである。このようにして、頁を捲ってくると公害や広島の風化を示しつつ原爆ドームと山本悍右の『<伽藍の鳥籠>のヴァリエーション』の頭頂部に繋がる叫びを受け取り本書は終わる。これは、これ自体が写真集ですな。

 

 さて、本書には「写真集・写真雑誌 書誌一覧」が設けられている。およそ40タイトル。展示されていないものも多いが編者が参考とされたものの一覧。頁数と定価の記載があるのは、現物主義者としては有り難い。もっとも、東松照明の写真集を除けば一般的には知られていない訳で、本書を手掛かりに古書店を巡るファンも現れると思う。ただ記載された五冊の自作写真集は、おおよそ一点限りなので、展覧会終了後の行末が気にかかる。

 

 最後になったが、<高校の部>に関連した正誤記載についてメモする。

169頁 杉山茂太(1948-2009)  →  (1948-2015) 

288頁 杉山茂太『SUD』1969(昭和44)年  →  1968(昭和43)年

288頁 VI-6-2石原輝雄<広小路通り、名古屋駅前、1969.10.21> 1969(昭和44)年 

                         →  VI-6-2〜4

              VI-6-3 Sugiura Yoji(杉浦幼治) <広小路通り、名古屋駅前、1969.10.21>

                        1969(昭和44)年  →  VI-6-5〜7

              VI-6-4 Sugiura Yoji(杉浦幼治) コンタクト・シート<広小路通り、名古屋駅前、

                        1969.10.21> 1969(昭和44)年  →  VI-6-8(pp.212-213)

 

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 展覧会は他館へ巡回されることなく3月28日(日)に終わる。「何が展示されたのか」を後世に残すため、500点あまりの写真と一次資料を網羅した展示品リストが作られることを願う。

嵐電・ブラパチ

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105号車 運転台

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16日(火)からの、健康散歩にかこつけた嵐電現有車両図鑑(仮)にお付き合いくださりありがとうございました。「撮り鉄」現役を卒業して半世紀、喜楽なパチリに終始なのですが、これも、健康のためとお許しください。ところで、嵐電が全線均一料金(大人・220円)となり、地元民として重宝しております。嵐電はラッピング車両も各種、イベント列車も各種と楽しい企画(納涼列車、ビヤホール電車などコロナ禍で自粛中)満載の電車であります。ただ、小生古くからの「撮り鉄」なのでポール集電時代、旧塗装時代が忘れられなく、いつまでも「京紫」には馴染めないと告白しておきます。併用軌道、専用軌道と変化のある路線ですが、ブラパチには光線の角度とパンタグラフの位置が味付けとなりますので、季節の移り変わりでの微妙な変化を考慮しつつ、さらに、良い写真が撮れるよう誠意努力を続けたいと思っています。

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嵐山線

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北野線

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嵐電・モボ2001形

モボ2001形は2000年武庫川車両工業製造、前面非貫通型、15m級2扉普通鋼製。カルダン駆動、シングルアームパンタグラフf:id:manrayist:20210115223606j:plain

2001号車 2020.11.24 御室仁和寺

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2001号車 2015.11.11 西院

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2002号車 2018.4.27 御室仁和寺

嵐電・モボ631形

モボ631形は1990-96年武庫川車両工業製造、前面非貫通型、15m級2扉普通鋼製。主要機器等モボ121形より流用。2015年シングルアームパンタグラフ改造。f:id:manrayist:20210115223331j:plain

631号車 江ノ電号 2019.5.17 御室仁和寺

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632号車 井筒八ツ橋・夕子ちゃん号 2020.7.23 西院

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633号車 井筒八ツ橋・夕子ちゃん号 2020.8.10 西大路三条

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633号車 2020.11.10 龍安寺

嵐電・モボ621形

モボ621形は1990-96年武庫川車両工業製造、前面非貫通型、15m級2扉普通鋼製。パンタグラフ、主要機器、台車等モボ121形より流用。f:id:manrayist:20210115222818j:plain

621号車 ラッピング電車 有料老人ホーム 2020.6.26 西院〜四条大宮

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622号車 2020.8.10 西大路三条〜山ノ内

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623号車 2018.2.22 蚕ノ社太秦広隆寺

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623号車 ラッピング電車 くろちく 2020.4.27 西院

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624号車 ラッピング電車 アラン&ペコちゃん 2020.5.31 西院

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625号車 ラッピング電車 嵐山モンキーパークいわたやま号 2020.4.16 太秦広隆寺帷子ノ辻

 

嵐電・モボ611形

モボ611形は1992-93年武庫川車両工業製造、前面非貫通型、15m級2扉普通鋼製。パンタグラフ、主要機器、台車等モボ111形より流用。f:id:manrayist:20210115222414j:plain

611号車 2017.11.15 妙心寺

 

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612号車 2018.4.27 山ノ内

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612号車 2020.9.25 山ノ内〜西大路三条

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613号車 2015.9.14 山ノ内〜西大路三条

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614号車 2020.5.4 西院

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615号車 エヴァンゲリオン初号機 2020.12.11 山ノ内〜西院

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616号車 2020.7.26 西院〜四条大宮

 

嵐電・モボ101形

モボ101形は1929年藤永田造船所製造、前面非貫通型、15m級2扉半鋼製。前面3枚扉。

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101号車 2020.8.10 山ノ内〜西大路三条

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102号車 2020.7.29 西院

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103号車 旧標準塗装 2010.7.25 西院

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104号車 2020.11.24 帷子ノ辻

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105号車 嵐パト 2013.9.14 西院

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106号車 2016.7.10 西院

嵐電・モボ21形

嵐電(京福電鉄嵐山線北野線)の現有車両図鑑を目指し健康散歩・ブラパチに努めております。特殊車両のモト1000形1両を除いて全27両、撮影日、撮影区間などと共に順次紹介いたします。

 モボ21形は1994年製造、モボ621形を設計基本とするレトロ調車両。

 

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26号車 側扉・側窓周りゴールト装飾帯 2020.4.16 山ノ内

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27号車 側扉・側窓周りシルバー装飾帯 2020.5.6 西院