『週間朝日』昭和三年十月七日発行

 今年のみやこめっせ「春の古書大即売会」初日は雨降り。東山の緑が雨に濡れ癒やされながらパチリ、開場5分遅れで到着すると最後尾での入館だった。参加店舗数の関係からかゆったり拝見する。アベドンや北井一夫など貴重な写真集も出品されていたけど背表紙を拝見するのみ、50年前に買わなかった物は、やはり買えません。廉価な未見で宝探し。絵葉書はないかと思いますが欧州物はありませんな。献辞のある俵青茅の詩集『秘色』に貴重な挟み物があったのだが、あまりに高価、幾度か手にとったが諦めました(トホホ)。

 二時間ほど経った頃、吉岡書店のブースで戦前の『週間朝日』が出品されているのに気付いた。同誌にはパリ外遊時の竹中郁寄稿があるかもしれない。お店には申し訳ないと思いつつ目星をつけた年代を確認する。もちろん、マン・レイの映画『ひとで』の記事は見つけられなかった。あるかどうかの確証がありません、「マン・レイのスタジオ訪問の目的は『週間朝日』や『詩と詩論』に場面写真を掲載するためだった」という当人の記述だけなのです。週刊だから年間50冊超、きりがありません。それでも、日本人たちの写生旅行が分かって興味深い記事を入手した。── 『ひとで』を鑑賞するのは三ヶ月程先のことである。

 昭和三年十月七日発行の『週刊朝日』に「フランス便り」として竹中郁の『美しい島の印象』が載っている。「パリの夏は郵便局が忙しい、丁度日本の年賀郵便時分のように忙しい」と始まるエッセイなので、当時の絵葉書集めに熱中している小生には嬉しい内容。カットに西村秀雄、小磯良平、古家新。尚、短信を寄せた古家は画家で大阪朝日新聞に勤め、挿絵やスケッチをものにしていると、帰宅後知った。

『週間朝日』16-17頁

[メモ]
 竹中郁の外遊は昭和三年三月からの二年間、『ひとで』を鑑賞したのは同年秋とされるので、昭和四年一月以降の『週間朝日』に、お宝があるかもしれない、期待しますな、ホント。

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会場を出る時も雨が降っている。京近美の505で焼きカレー、熱々で好きですねん。

四条通河原町交差点