『銀塩写真の魅力VII 20世紀の肖像』 at ときの忘れもの

f:id:manrayist:20210126201644j:plain

10.5×14.8cm 案内状表

---

上掲はガスマンのモダンプリント(1990年)だけど、星型に剃ったデュシャンの後頭部、インパクトがありますな--- 有名な写真で、小生もこれまでマン・レイの撮影した写真とばかり思っていたけど(裏面のスタンプなどから)、展覧会に際してシュヴァルツ資料を改めて見ていたら、「マン・レイ撮影」あるいは「マン・レイによる写真」とは示されていない(驚きました)。説明では台紙に貼られた写真の下部にデュシャンのサインで「Tonsure de 1919-Paris / Marcel Duchamp」とある。おそらく1919年の9月か10月にパリで撮られたものらしい。---マン・レイは、まだ渡仏していないじゃないですか。マン・レイのところにネガがあるとしたら複写とも考えられるけど、日付の誤り(1921年にザヤスが剃ったとする説)を指摘する人もいる。誤りではなくて、意図的に「1919」と記する場合もあるから、ややこしい。

 さて、結論。ポンピドゥセンターの所蔵となったネガの様子からすると、1921年が正しいと思われる。これだと、マン・レイの撮影ですな。聖職者つながりからの「頭のてっぺんの丸はげ」では単純だから、「剃髪」としておきましょうか。

f:id:manrayist:20210126201657j:plain

---

 ときの忘れものの展覧会(2月12日(金)〜3月6日(土))では、マン・レイの他に、ボブ・ウィロビー、ロベール・ドアノーエドワード・スタインケン、金坂健二、細江英公、安齋重男、平嶋彰彦氏らによる「優れた表現者」たちの写真が出品され、WEB見学も出来そうなので、楽しみにしている