南仏紀行-38 『青い言葉と黒い文字』から15年

最終日の朝も不思議な青と共に微睡んでいる。二〇七号室の小さな窓からガラス越しに外の 写真を撮る。毎朝、部屋から見える景色を記録しておこうとカンヌのホリディ・イン・ガーデンコートから実行していたのだ。どんな写りになっているかは、帰国してからで…

南仏紀行-37 スキポール空港

2006年3月11日(土) あきらめてゲートを進むと、透明チューブの先にKLMの小型機が待機している。ちょっとSFの世界だと写真をパチリ。離陸は一〇時三四分、オランダのスキポール空港には十一時二四分に到着した。九日前にこの飛行場から欧州が始まった。…

南仏紀行-36 サン・ジェルマン・デ・プレ教会

・ 気が付くと約束の時間を過ぎている。ルネス通りとサン・ジェルマン大通りとの角にあるスーパー・モノプリへと横断歩道を渡ろうとしたら、わたしに気が付いてTとKが手を振ってくれる。「お母さんは中に居るけど、わたし達はちょっとお店を見てくる」と街…

南仏紀行-35 サン・シュルピス教会

ボナパルト通りに落ちる雨は強く、傘をさして歩く。結局、ピカ一のマン・レイを見付ける事は出来なかった。(152頁) ---

南仏紀行-34 ギャラリー1900-2000

河岸から離れボナパルト通りを戻ると、ギャラリー一九〇〇--二〇〇〇は右手側ですぐに見つかった。ハンス・ベルメールの小展示をしているではないか。これは良いぞとうきうき。ポンピドゥー・センターでの展覧会と連動しているのだね。(149頁) フランスでは…

南仏紀行-33 アラントン書店

マラケ河岸に出て造幣局、フランス学士院を通りすぎアラントンの店へ。ここの扉もロックされている。しばらくして開けてくれたので「マン・レイのカタログが有りますか」と尋ねた。豪華本の類について発言したら良かったのかもしれないが、どうも、勢いが失…

南仏紀行-32 マリオン・メイエ画廊

マン・レイのアトリエを訪問した時に薔薇の花束を作ってもらった店は、この辺りだったなとブラブラ歩く。(147頁) --- 随分と歩いてからギャルリー・マリオン・メイエを発見。外壁の塗装や正面のロゴ、入口上部の装飾等は変わっているようだ。あの時には、こ…

南仏紀行-31 ニケーズ書店

限られた時間で効率良く捜すのは難しい。偶然が作用する部分も多いだろう。それからセーヌ 通りを左に折れてサンジエルマン大通りへ。前述したホテル・マディソンの隣りにあるニケーズを覗く。この店はシュルレアリスム関係に強いと評判だったが代替わりをし…

南仏紀行-30 ロリエ書店

通りを戻って、右に曲がりセーヌ通り偶数番地のリブレリ・ロリエの店へ。ここも深く美しい青色で塗られている。(144頁) 左側のウインドウに飾られている六点はアンドレ・ブルトンの『シュルレアリスム第二宣言』(一九三〇年)を中心に『シュルレアリスム革命…

南仏紀行-29 ラ・シャンブル・クレール書店

地図では、サン・シュルピス通りが細くなった先にラ・シャンブル・クレールと云う写真集専門の古書店がある。この店で一九九〇年代前半にギャラリー・オクタンの『マン・レイ 裸体』やギャラリー・アラン・パヴォーの『マン・レイ 街の正面から裏側まで』等…

南仏紀行-28 フェルー街

わたし達はサン・シュルピス教会のある界隈へ到着した。マン・レイが一九五一年にカリフォルニアから戻り、亡くなる迄の二四年間を過ごした最後のアトリエは、教会を越したフェルー 街にある。(137頁) マン・レイの未亡人ジュリエットが健在だった一九八二年…

南仏紀行-27 ノートルダム大聖堂

正面の浮き彫りを確認する間もなく、人混みに連れられ聖女アンナの門から内部へ。近年の清掃工事で長年の汚れが落ち、見違えるように白くなった外見と内陣の暗闇、その中でゆれるロウソクの炎が心にしみる。(136頁) --- 南側廊を進んで西の薔薇窓を振り返る…

南仏紀行-26 ポンピドゥー・センター

それから急いでポンピドゥー・センターへ。左手の建物は移設されたアトリエで、ブランクーシの彫刻がちらりと見える。開くのが二時からなので今は諦めねばならない。(131頁) チューブ状のエスカレーターに乗って最上階へ登る。風は遮断され雨がやんで雲の流…

南仏紀行-25 20世紀とその資料書店

センターに続く手前のミシュレ広場に面して古書店がある。きっとリブレリ・アルカードの吉永昭夫がお薦めと言っていた店だ。洒落た作りの白い外装で、ディスプレーされた書籍の写真を撮る。これは期待が持てそうだ。(129頁) 主人は再び書庫に降り、さらに貴…

南仏紀行-24 カンパーニュ・プリミエール通り

三月初旬の寒い朝。モンパルナス墓地を出て、エドガーキネ大通りをメトロのラスパイユ側に向かう。マン・レイのアトリエがあったカンパーニュ・プリミエール通りが直ぐに始まっているはずだ。ギマールによるアールデコ様式の地下鉄入口から交差点の反対側を…

南仏紀行-23 モンパルナス墓地

2006年3月10日(金) 世界中からやってくるマン・レイのファンがお墓に手を合わせる時、ジュリエットが一緒に現れる。彼女の筆記体で『平面卵』の表面に刻まれたマン・レイの墓碑銘は「呑気にしているけれど、無関心ではいられない」、名前と生没年表記の下に…

南仏紀行-22 コンコルド広場

そして間近に迫るエッフェル塔。さらに続けてイエナ橋、歩行者用のドゥービイ橋。セーヌとともにアルム橋、アンヴァリッド橋、アレクサンドルⅢ世橋、コンコルド橋、ソルフェリーノ橋。車窓の両側が気になる、対岸のオルセー美術館の入口には行列が並ぶ。ルー…

南仏紀行-21 サン・ジェルマン・アン・レイ

2006年3月9日(木) 十一時五五分、二度目のトイレ休憩をサン・ジェルマン・アン・レイの近くでとる。青ベタ白ヌキの道路標識略記は「S: GERMAIN enL. 」第二次大戦が始まる前の一九三九年、マン・レイはパリでの多忙な仕事から逃れる為に、田舎の一軒家を手に…

南仏紀行-20 サン・マロ

終日、モン・サン・ミッシェルの岩山を上下したので足に疲れを感じる人もいるだろうし、ワインの酔いが残っているわたしの様な者も居るだろう。おぼろげな街灯に照らされた古い港町。(100頁) ホテル、ドゥ・フランス・エ・ドゥ・シャトー・ブリアンは、名前…

南仏紀行-19 モン・サン・ミッシェル

先端に立つとブルターニュの湾が二二五度の眺望で拡がる、身を乗り出すと一回転してしまいそうな大パノラマ。足元の石畳がかってここが教会の身廊であったことを示している。火災に遭ったのは十八世紀の出来事だが、雨が止み前方からの光が石の表面を美しく…

南仏紀行-18 ル・ルレ・サン・ミッシェル

2006年3月8日(水) トゥールはロワール地方の中心都市で学生が多いと云うが、ホテルの立地が判らない。ロワール川から直角に伸びるジラード通り二四七番地と云うから川から随分離れていると思う。朝の りに出て幾つかの道を超えアタックと云う名前のスーパー…

南仏紀行-17 シュノンソー城

次ぎの目的地、シュノンソー城に向かう。雨粒が窓を打つどんよりとした三月。王侯貴族の愛憎劇が土地をめぐる。夢とおとぎ話のシンデレラは映画の中から抜け出し森のどこかに潜んだようだ。バスを降りたわたし達はプラタナスの並木を連れ立って進む。視線の…

南仏紀行-16 ロレ・ド・シャンポール

さて、昼食は城から三キロメートル離れた田舎屋、ロレ・ド・シャンボール。内部には梁の太い木材が使われている。(72頁) 暖炉で燃える赤い炎を見ていると、広いホールが暖められているのを感じる。その暖炉の上には鉄製のアイロンが並べられている。数えてみ…

南仏紀行-15 シャンポール城

2006年3月7日(火) モーニングコール五時十五分、出発六時。今日はロワールに向けて五五〇キロのバス移動。日本なら京都から東京を超え水戸まで行ける。空は暗い。(68頁) 駐車場に戻ると小学生の一団がフランスパンを頬張っての昼ご飯。カメラを向けるとポー…

南仏紀行-14 リヨン

街に入るとローヌ川に沿って高さの揃った古い建物が連なっている。黄昏れ時の都会は素敵だ。様々な人々を車窓から眺め、生活や人生を想像するのは興味深い。(62頁) 出された料理はキュシュのサラダ、メインの皿はボルドー風白身魚、デザートはチョコレート・…

南仏紀行-13 アヴィニヨン

何処が入口だろうかと思う程続いた後、左に折れてレプュブリク門をくぐった。旧市街は一直線で法王庁の方へ続いている。今は冬の季節、芽吹き前の街路樹はキュビスムの絵画だ。(57頁) 市役所前のロルロージュ広場には観覧車、細い通りに入って法王庁宮殿に出…

南仏紀行-12 アルル

国旗が掲げられているのが市庁舎で、空はどこまでも青い。(48頁) 一〇〇年の後、壁を黄色に塗って「光」を抹殺した観光地の名所は「カフェ・ヴァン・ゴーグ」と名乗ってわたしたちを迎え入れる。壁の黄色は過剰な演出、夜空に輝く星の光が地上に反射して明る…

南仏紀行-11 サン・トロフィーム教会

2006年3月6日(月) ジョン・ジョレス通りを進んで革命広場へ。中世の石畳の上にオダリスクと噴水。四方に向かってライオン、モーゼの口からは清い水が落ちている。(48頁) --- 右手にあるのは、正面のポルタイユ(装飾彫刻のある門)が素晴らしいサン・トロフィ…

南仏紀行-10 エクス・アン・プロヴァンス

春を待つプラタナス並木は、枝だけの身でミラボー通りを奥深く連なっている、その先にはセザンヌの生家があるはずだ。(41頁) 部屋のインテリアとしてセザンヌの複製画『エスタックと城のある眺望』が掛けられている。(42頁) --- 夜中の一時半頃、眼が覚め寝…

南仏紀行-9 アンジェ湾

細長い広場の突き当たりには、濃い黄色に塗られた五階建ての美しい館、この最上階には晩年のマティスが住んでいた。画家が描いた室内風景の幾つかを思い出し、部屋からの眺めを想像する。(37頁) --- 車に注意して砂浜側に渡ると、アンジュ湾の海岸線がはるか…