南仏紀行-37 スキポール空港

2006年3月11日(土)

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あきらめてゲートを進むと、透明チューブの先にKLMの小型機が待機している。ちょっとSFの世界だと写真をパチリ。離陸は一〇時三四分、オランダのスキポール空港には十一時二四分に到着した。九日前にこの飛行場から欧州が始まった。わたし達は振り出しに戻った訳である。(165頁)

 

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疲れたわたし達はゆっくり腰掛け、青い機体を見ている。その胴体には「空飛ぶオランダ人」と書かれているが、ある画商が、どのオークションに出品しても買い手のつかないマン・レイの写真を、同じ名前で呼んでいたのを思い出した。広い空港内を荷物を積んだカートが列車のように連なって走り回っている。関空行き八六七便の出発予定時刻は十四時五分、娘達は何処かへ行ってしまった。(166頁)

南仏紀行-36 サン・ジェルマン・デ・プレ教会

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気が付くと約束の時間を過ぎている。ルネス通りとサン・ジェルマン大通りとの角にあるスーパー・モノプリへと横断歩道を渡ろうとしたら、わたしに気が付いてTとKが手を振ってくれる。「お母さんは中に居るけど、わたし達はちょっとお店を見てくる」と街へ消えて行った。(154頁)

 

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わたしの方は白身魚を頼み、白ワインとする。ギャルソンが運んできたのは氷の入ったワイン・クーラーに入れられたボトル。本当はフル・ボトルとしたいが許されなくてハーフとする。今晩は荷造りをしなくてはいけないからね。(155頁)

マン・レイ受容史 テキスト初稿終わる。

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終日の降雨、マン・レイの『受容史』本文75,000字で100年を遡りました。書いてみると、受容史のテーマを「正しく」反映させるのは、架蔵資料リストの方だと実感。これから、リストの校正にかかります。

 

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『さまよえる絵筆』展 at 京都文化博物館

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『さまよえる絵筆 ── 東京・京都 戦時下の前衛画家たち』
at 京都文化博物館 3階展示室 2021年6月5日(土)〜7月25日(日)

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 京都と東京の二つの美術館で準備された展覧会『さまよえる絵筆』展は、残念なことに先発の板橋区立美術館での展示が、コロナ禍自粛のため一ヶ月程で閉じられ、そのまま終わってしまった。二番手の京都展は、いまのところ予定通り始まって、先日、拝見。--- 1937年前後の前衛画家たちの仕事に関心を寄せる者にとって、刺激的な展示となっている。会期中に何度か拝見し、ときの忘れものでのレポート「美術館でブラパチ」に繋げたい。--- なんとか、7月の最終日まで展覧会が開かれている事を願っている。

 尚、京都展では、福沢一郎、杉全直、松本竣介、山口薫らの作品のいつくかが巡回されなかったが、北脇昇、小牧源太郎、今井憲一、小栗美二などの地元作家に追加品も多く、見応えのある構成となっている。その点、みすず書房から刊行された記念出版の内容と違うので、展示品リスト(PDF)などで、確認される事をお薦めする。

 

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チラシ

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26×19.3cm pp.216 展覧会カタログ 弘中智子、清水智世編著

『父の道具展』at ブックス・ヘリング

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林哲夫画伯の父君丹精の品[展示即売]とインスタレーション・コラージュの作品展 13日(日)まで、会場は岡崎通平安神宮東のブックス・ヘリング二階。

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氏のブログdaily-sumus2にリンクを貼るのが一番ですな。オブジェには物語が似合うと思うのよね。

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カイヨワみたいな「石」のオブジェが売れ筋と聞いた。

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南仏紀行-34 ギャラリー1900-2000

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河岸から離れボナパルト通りを戻ると、ギャラリー一九〇〇--二〇〇〇は右手側ですぐに見つかった。ハンス・ベルメールの小展示をしているではないか。これは良いぞとうきうき。ポンピドゥー・センターでの展覧会と連動しているのだね。(149頁)

 

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フランスでは指先でひらひらと踊る形体から小さな案内状の類をパピヨンと呼ぶ。店舗は正面から覗くと左壁 に書棚、右側には陳列ケース。殺風景な印象だがオークションの下見会の会場とする為のあつらえなのだろう。入ると書棚の裏側にオッテルロー氏のデスク。穴蔵のようで不思議な空間だ。先客との話に夢中になっている。(151頁)

 

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インターネットでは商売をしているようだったが恐い。これで用意してきたマン・レイ資料探索のカードを総て使いきってしまった。雨は降り続く。(154頁)

南仏紀行-33 アラントン書店

f:id:manrayist:20210402103708j:plainマラケ河岸に出て造幣局、フランス学士院を通りすぎアラントンの店へ。ここの扉もロックされている。しばらくして開けてくれたので「マン・レイのカタログが有りますか」と尋ねた。豪華本の類について発言したら良かったのかもしれないが、どうも、勢いが失せてきた。この心の状態、出会いの魅力が薄れてしまう、本は何も無く、目の前に現れわたしの指先を愛撫することが無い。(148頁)

 

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二〇年前、この店でシュルレアリスム画廊版の『回転扉』とギャラリー二十世紀刊の『時間の外にいる女達のバラード』を拝見したのにな。今回は資金もなく一人だ。せめてもと、店の外見を写真に撮る。(149頁)

南仏紀行-32 マリオン・メイエ画廊

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マン・レイのアトリエを訪問した時に薔薇の花束を作ってもらった店は、この辺りだったなとブラブラ歩く。(147頁)

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随分と歩いてからギャルリー・マリオン・メイエを発見。外壁の塗装や正面のロゴ、入口上部の装飾等は変わっているようだ。あの時には、ここでマン・レイの写真『プリアポスの文鎮』を買い、ジュリエットに紹介された。店の奥でジュリエットをはさんだ記念写真を女主人が撮ってくれた。今、ウインドウにはデュシャンの画集等が積まれている。そして、入ろうとすると扉がロックされている。覗くと、すぐに地下へ降りる螺旋階段、前にもあったのだろうか。若い女性が客と話し込んでいる。しばらくして、わたしに気付き扉を開けてくれたが「マン・レイ・チームはグランパレのアート・フェアへ行っている」とそっけない。(148頁)

 

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南仏紀行-31 ニケーズ書店

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限られた時間で効率良く捜すのは難しい。偶然が作用する部分も多いだろう。それからセーヌ 通りを左に折れてサンジエルマン大通りへ。前述したホテル・マディソンの隣りにあるニケーズを覗く。この店はシュルレアリスム関係に強いと評判だったが代替わりをしてしまって、今は陽気な太めの青年が店番をしている。マン・レイについて尋ねるとベルフォンド版の『大人のアルファベット』を示す。本日、二冊目の登場だ。(146頁)

 

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この青年、二階の展示を観ていけと熱心に勧める、作家の案内状もくれるが、安物のアメリカン・ポップといった繪。彼が好きな物とわたしの好みは違う。ズレてしまうのはしかたがないことだ。(147頁)

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通りのプレートとミシュランの地図と合わせるが、すぐに判らなくなる。それで、ウロウロしていたら古書店マザリンのウインドウに一九七二年のパリ市立美術館で開催されたマン・レイ展のカタログがあるではないか。午前中に出会った一冊とどう違うかと気になり店内に入って手に取った。しかし、状態が悪い、展覧会を告知する新聞がおまけとして挟み込んであって楽しいのだが、すでに二部持っているし、上手くいかないものだ。(147頁)

 

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輸入取止め・国際郵便

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 パリ・京都往復ご苦労さま。 国際書留郵便 小型包装物 内容: 書籍 贈り物

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 3月8日に航空便で送ったスモールパケットが、「あて所に尋ねあたらず」と記されて京都まで戻ってきた。コロナ禍の影響を受け海外便の取扱が悲惨な状態になって久しかったのだが、ロックダウンも一旦終わり、動き出しているだろうと期待して、名古屋市美の『写真の都物語』展カタログをパリ在の友人に送った。問い合わせ検索で荷物の動きを確認していたところ、五日程かかってシャルル・ド・ゴール国際空港へ着いた後、「輸入取止め」扱い。友人に尋ねると、これが多いそうで、通関を抜けずにそのまま差出人のところへ戻してしまっていると云う。扱い量が増えると、「宛先」の確認などせずにそのまま「ポイ」だって。行方不明となるものも多いと聞く。追跡と保険の申請をせねばと思っていたところ、一ヶ月半後の4月30日に送り出したとの表示が現れほっとした。検索で動きを毎日確認、そして、拙宅に5月21日到着。関空とパリは凡そ9,600kmだから、その倍の長い旅。荷物もとんだ「骨折り損のくたびれ儲け」とにかく無事な姿でやれやれ。しかし、どうやって再送するか思案。

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シャルル・ド・ゴール国際空港  グーグル・ストリートビューから引用(以下同じ)

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京都

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 友人から「EMSだと順調に届くのではないか」とのアドバイスをもらい5月24日EMSで再送、31日には無事受け取ったとの知らせをもらった。EMSはクロノポスト社扱いだから、これが違うのだろうか? 『写真の都物語』の28,800kmの旅でした。履歴情報を貼付しておきますので、同じような仕置に合っている人は参考になさってください。お疲れ様です。

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パリ  

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 教訓、フランスに郵便を出すときはEMS、あちらから荷物を送ってもらう時はどうでしょう。今、古書店に展覧会資料を注文し到着待ちの状態なのですが、相手が知らせてくれた追跡番号、ヒットしないのよね(不安)、---これについては、また、報告します。  

夏越の祓『みなづき』by 仙太郎

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シニア二人の我が家では、仙太郎の甘い物をよく求める。6月は『みなづき』、お店では白、黒、抹茶 の三種類。それぞれういろう、黒糖、抹茶の生地に小豆かのこをのせて蒸し上げるそうで、三角の形は氷室の氷の結晶だそうです。小豆は魔除けとか。リーフにこんな記述が---

 「みなづき」を食べ、うっとうしい梅雨とわかれ、祇園囃子が聞こえるようになれば、京都はいよいよ本格的夏をむかえる。コンチキチン♪ コンチキチ♪

  六月に入ったばかりですが、氏神さまからは夏越の祓いの人形(ひとがた)も、穢れを祓い 無病息災を祈ります。今年も巡行は中止だそうですね(涙)

 

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南仏紀行-30 ロリエ書店

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通りを戻って、右に曲がりセーヌ通り偶数番地のリブレリ・ロリエの店へ。ここも深く美しい青色で塗られている。(144頁)

 

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左側のウインドウに飾られている六点はアンドレ・ブルトンの『シュルレアリスム第二宣言』(一九三〇年)を中心に『シュルレアリスム革命』創刊号、ダリの『ナルシスの変貌』、『言葉の効用』誌が二冊、ベルギーのシュルレアリスム機関誌。この内の五点は山中散生の『シュルレアリスム資料と回想』(美術出版社、一九七一年刊)で紹介されている。店内に入ろうとすると閉まっている。困ったと思っていると、後から来た女性がドンドンと扉を叩く。すると、中から若い男が出てきて女性を招き入れた。それで、一緒にすっと店内へ。

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フランスの正統派古書店の品揃えは、びっくりするような珍品が完璧な美本でそろえられているけど、仮とじ本の印刷されたままの状態が好きなわたしなどは、格の下がる顧客の扱いとなるのだろう。(146頁)