フランシス・ナウマン著『指導者たち』2018年刊

"MENTORS ─ THE MAKING OF AN ART HISTORIAN"  by Francis M. Naumann Doppel House Press, Los Angeles 2018 21.6×14.2cm 198pp.

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 デュシャンマン・レイが登場したニューヨーク・ダダの専門家で、世界的に知られるフランシス・ナウマン氏が、影響を受けた指導者たちをとおして、自身の美術史家としての成り立ちを詳らかにする好著。冒頭で氏は「美術史家は華やかな職業でもなければ、儲かる職業でもない」と釘を刺す。これは「自伝」ですな。「わたしも書きたい。── すでに銀紙書房刊本のタイトルは決めているのですが…… 

『奢灞都館刊行 全書籍展』 at 午睡書架

ジョルジュ・バタイユ『死者』生田耕作訳 山本六三銅版画2点入 奢灞都館 1972年刊 限定250部 1番本

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 錦林車庫にある古書店・午睡書架で10月20日から11月9日まで『奢灞都館刊行全書籍展』が催された。鎌田大所蔵になる全122点のコンプリート・コレクションである。上掲の『死者』は刊行直後に神戸・元町高架下のイカロス書房で小生も購入した記憶があり、生田氏の著作、奢灞都館の刊本にも興味を持って親しんできた。20代の後半からはマン・レイ関連本に収集の傾向を絞ってしまったので、奢灞都館のものをほとんど架蔵しないまま過ごしてしまったが、一同に拝見できるとは、興奮するひとときだった。

 展覧会では記念の小冊子が発行(税込定価2,200円)され、鎌田さんは生田の活躍と奢灞都館の出版活動にふれ「バブル期を挟む野蛮な時代に孤立していた私ども青年にとって、とてもまばゆく、美と芸術の真の力を教えてもらえた希望の存在だったからです」と書いておられる。また、彷書月刊からの再録で生田かをるへのインタビューが載せられている。マンデアルグ来日時の澁澤龍彦とのエピソードにふれ「澁澤さんも逃げてきたに違いないって生田は決め込んでよろこんでいました。文学作品を読むことと、会話とは違いますが、翻訳者が作家と会って会話がヘタだったら、著者が不安がるにちがいないって思うんですかね」── ほんと、分かります。プライベート・プレスの末席につらなる気分の小生としては、費用のかかる特装・革製本に躊躇するばかり、銀紙書房はマイペースで造っていきたい。

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 これで11月も終わり、明日からは師走、「第27回KYOTO/How are you,PHOTOGRAPHY?」展もあるから、さらに忙しくなりますな。

テレビ30面

今朝の読売新聞、一面見出しに相変わらずの話題と思いつつ、裏返すとルイ・ヴィトンの全面広告で草間彌生。明日は新聞休刊かと戻るとテレビ欄が30面にあります。ヴィトンの広告目立ちますな。テレビ勃興期の新聞危機に、テレビ番組表を最終面に載せ共存を図ったことは知られているが、紙面構成をここまで変えたのって、近年は知らない。新聞社の広告依存体質、顕著になっているのかしら、他紙はどうだろう。紙好き、活字好きには、変化対応に時間がかかります。

30−31面

最終面

大江戸人形焼 by 大江戸

観劇記念土産品

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 先日、大先輩から頂戴したお江戸のお味、大好きなんです「人形焼」。威勢がよくて下町情緒、機会があれば歌舞伎座にも行きたいですな。創業60年となるお店のサイトによると「第23回 全国菓子大博覧会内閣総理大臣賞』受賞。鶏卵たっぷりのカステラ生地で、小倉あんを包み込み、ソフトに焼き上げました。小倉あんのほかに、栗あん、抹茶生地の三種類」大会は1911年から始まり戦争をはさんで第23回は1998年の盛岡、人形のお顔は七福神の弁財天、大黒天、恵比寿だそうで、目出度い。 パクリ、美味しい。

The 27th KYOTO / How are you PHOTOGRAPHY? いよいよ12月です

 本日(27日)、御射山公園北隣りのウィングス京都で『The 27th KYOTO / How are you PHOTOGRAPHY?』展のチラシ、ボスターの発送作業をしました。前期・後期に別れギャラリーマロニエを会場に12/13〜25まで開催。18日に飯沢耕太郎講演会、25日に恒例一品持ち寄りPHOTO PARTY。また、関連展示としてギャラリーメインを会場に、12/1〜11 小池貴之の『浜さ』、12/13〜25 森岡誠の『1981-1996 KIOTO』RE展が予定されています。気ぜわしい師走ですが、皆さんふるってご参加ください。── 今年の広報デザインーは後期出展作家・中井五絵さん、良い塩梅に仕上がっています。

 

銀紙書房-2011 三條廣道辺り

石原輝雄著『三條廣道辺り』銀紙書房 2011年刊 限定75部 21 x 13 cm 240 pp 図版多数。A版12部(オリジナル資料添付、内2部: 山本悍右ビンテージプリント挿入)、B版63部、各冊記番 筆者サイン。 目次: 「まえがき」「カンパーニュ・プルミエール街の手紙」「三條廣道辺り」「大虹と隆一、画家と詩人」「エロテックな墨流し」「『ひとで』が巡る巴里・神戸」「観月町の硝子窓」「海人舎とプレス・ビブリオマーヌ」「あとがき」「資料」。

 腰巻き 表:「中西武夫のスクラップ・ブックに詰まった不思議から 俵青茅詩集『夜虹』を飾ったマン・レイのレイヨグラフ さらに山本悍右のオリジナルまで ── 詩雑誌『青樹』『麺麭』『夜の噴水』を巡る」 裏: 「マン・レイ受容史を書き換える画期的発見 戦前京都の詩人 俵青茅(1902-1964)と天野隆一(1905-1999)が選んだ写真に迫る。三條廣道は現在の京都市美術館南東側 京都詩人協会の事務所があった。著者渾身の240頁、限定75部」

 3章構成で以下の各氏に言及 1.マン・レイ 中西武夫 2.俵青茅 天野隆一 錦光山雄二 キキ・ド・モンパルナス 竹中郁 3.山本悍右 下郷羊雄 山中散雄 佐々木桔梗 鳥居昌三。 資料に「青樹社刊行及び発売の詩集・詩撰集」一覧 「詩誌『TRAP』」目次 

 

李朝墳墓表飾石像遺物

 同じく京博の東の庭に山本あや氏寄贈の「李朝墳墓表飾石造遺物」がある。説明板によると「李朝時代(1392-1910)の貴人たちの墳墓を飾っていたと思われる石造遺品(石人/13躯、石羊/1対、燈籠/2基、基台/5基、方台/8基、石脚/2対)で、各地にある墳墓を飾っていたものが収集されたようである。大正初年、大阪山本家の日本式庭園の要所に巧みに配置されいたが、昭和50(1975)年10月同園の廃滅に際し、石幡二対を柱に利用した亭とともに同家より一括して寄贈され、その後も数点の遺品が追加寄贈された」「石人には文官と武官とがあって、参道の左右に向かいあって立てられ、時には童子が侍立することもあった。正面に石燈籠、その奥、墳丘に接して魂遊石と呼ばれる方石、墳丘のまわりに玉垣、その外側に虎、羊などがそれぞれ配された。また、左右に立てられた石幡は聖域の標識の意味を示している」「古くより石彫の本質をよく理解し、また石を深く愛した朝鮮半島の人々の心を、これらの遺物から読みとることができよう。」

 

石人

石羊

茶室 堪庵


 京博の東の端に茶室「堪庵(たんあん)」がある。旧館(明治古都館)裏手の高台(東の庭)にあるので、紅葉の季節ながら人影もまばら。

 玄関に置かれたチラシを要約すると「江戸時代初期京都における公家文化の伝統を受け継いだ数寄屋造りの建物で──1958年(昭和33年)上田堪一郎氏寄贈──母屋には八畳の書院座敷(広間)を中心として正面に広縁、左脇に玄関、裏に水屋があり、庭に面して自然と一体をなす空間は、軽快な屋根の取り合わせや黒木の落ち着いた色調とともに、桂離宮(1620年〜)から学んだものと推測。母屋右側にある小間が、奥の土間から上がる三畳の茶室「堪庵」であり、金森宗和(1584~1656)好みの大徳寺真珠庵「庭玉軒」を写したとされる。間取りは本勝手台目切(出炉)、下座床は框を横たえた上段の構造。1966年(昭和41年)に明治古都館南側から現在の位置に移築した際に、藁葺きと板葺きであった屋根を銅板葺きにあらため、あわせて庭と水屋後方の付属屋を整え、茶会等の利用に一般開放」されている。── ここで、勤務先の茶道部がお茶会をしたのを思い出す。

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11月16日(水)

『茶の湯』展-2 at 京都国立博物館

京博での『茶の湯』展、後期展示(11/8〜12/4)を拝見した。絵画や紙ものが見やすい物に入れ替わったように思ったが、特に第一室(序章)で 五島美術館蔵の無準師範(1177〜1249)墨蹟 二大字「茶入(ちゃにゅう)」を前にして、唸った。別の紙に書かれた大文字「煎茶」と「入室」から一字を切り離し合わせたと云う、「入」なんて、黒豹みたいで表情豊か。裁断する意志、なんとも素晴らしい。

この他の後期展示では

14.佐竹本三十六歌仙絵 坂上是則 (鎌倉時代 13世紀 文化庁)
107.薬山李翺問答図 馬公顕筆 (中国・南宋時代 13世紀 京都南禅寺)
115.清拙正澄墨蹟 遺勝 (棺割の墨蹟・毘嵐空) (南北朝時代 暦応2年 (1339) 東京 常盤山文庫) 

に眼を留め、さらに通期展示の下記の品も楽しんだ。

9.唐物文琳茶入 酸漿文琳  (中国・南宋─元時代 13─14世紀 ヤング開発株式会社)
186.大井戸茶碗 銘 須弥 (朝鮮半島・朝鮮時代 16世紀 東京 三井記念美術館)

 小生、「お品」の物語に惹かれます。マン・レイ作品や、準備中の京都写真展出品作も含め、作品にまつわる背景に触れると魅力が深まる、写真的な見方が身体にしみついているのだろうか。寒くなりました。

 

平成知新館 設計:谷口吉生 竣工: 2013年

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帝国京都博物館 本館(現・京都国立博物館特別展示館) 設計: 片山東熊(宮内省技師) 竣工:1895年

正門(重要文化財) 設計: 片山東熊(宮内省内匠寮) 建築:1892〜95年

昨年の11月に建築京都で紹介した。→ https://manrayist.hateblo.jp/entry/2021/11/04/060000