釜めし きく屋 (宮川町)


隈取

ろじうさぎ 正面は恵比寿神社

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京都で働き始めて1年ほど経った頃、同僚のHさんに連れられてお邪魔したのが「きく屋」さんとの出会い。黄昏時の宮川町を下がり、ブラブラと歌舞練場辺りまで情緒を楽しみ、お邪魔したと記憶するから、夏のように思うけど、秋だったのかもしれない。お座敷に通されると床の間に歌舞伎の「隈取」が飾られ、友人が生者と死者で化粧の色が違うんだよと教えてくれた。歌舞伎にも京都の文化にも疎い名古屋人には驚き。友人の話では芸者さんだったと云う美しく気性のさっぱりした中年の女性がビールを運んでくれて、なにを頼もうかと、世間話。---思い出を書くときりがないので、ブログではこのあたりにするけど、春は若竹、今頃だったらえんどう豆の卵とじ(Hさんの大好物)、秋のこうの炊いたん(鱈の子)、冬は定番の湯豆腐、締めには名物の釜めし、どれも美味しかった。おばちゃんはいつも「千松さんにはせえへんえ」と言ってから、料理にかかる様子だったけど、千松さんと浄瑠璃先代萩が結びつくには、小生には文化のハードルが高すぎた。
 昨日、FBで「きく屋」さんの内装などをほとんどそのままで営業されている「ろじうさぎ」さんを紹介したところ、多くの友人からコメントをいただいた。40年以上前、お店の雰囲気が良く、料理も最高だったので、みんな強く印象に残るお店だったのだと、改めて懐かしく思った。「ろじうさぎ」さんの話では、おばちゃんが亡くなられた後、お店は休まれたけど、おいちゃんは102歳の天寿を全うされたとの事。お店には地下室があり、ロフトのような三階を有している、外に出て見上げると二階の作りも洒落ていて、お金のない若者にも分け隔てなく、楽しませてくれた、お二人のご冥福を改めて祈らずにはいられない。合掌。

お座敷の美人(フランス人(?))に話しかけたかったんだけど(お一人でのお昼ごはんですから)

おいちゃんはお祭りもお好きだった。