ムラナカ理容院(現・韓国料理ナグォンチャン)

in『モダン建築の京都』展 2021.9.25-12.26

2021.12 ムラナカ理容院(現・韓国料理ナグォンチャン) 竣工: 1928年 木造3階建 設計・施工: 熊倉工務店。川上貢監修の『京都の近代化遺産』(淡交社 、2007年)によると「建坪は八坪以下、一階店舗、二階に台所及び和室二室、三階に和室二室という構成」「屋根は陸屋根に近い箱型で、壁面は一階に煉瓦タイル、上階をモルタル塗りとし、縦長の外観を引き締めている」とある。

 小生、この角地には祇園祭の山伏山などの駒形提灯が建つところなので、よく写真を撮っておりました、なので、愛着があります。理髪店廃業の後は、手作りノートを扱うお洒落なリエノ室町店、ラーメンが美味しい麺処・むらじ室町店(2021.11.15迄)などを経て、現在はモルタル塗りの外観は変わるが韓国料理店ナグォンチャンが引き継いでいる。いつまでも残って欲しい空間ですな。尚、展覧会カタログには立項されていない。

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[ときの忘れもの拙稿] 『小さなカタログ、見上げる建築』 『親しげなヴォーリズ建築』

雑誌『ガレリー』1940年3月号他

先日、ヘリングで1940年頃の写真雑誌『ガレリー』のバックナンバーを拝見した。同誌は岡本久雄の編集・発行による「月刊国際芸術写真雑誌」。国会図書館のサイトで確認すると1937年7月から40年12月まで発行された模様。ルパンの店でマン・レイなどの作例紹介を期待したが、発見できなかった。時代や地域のわずかなズレですれ違うのですな。

京都市立立誠小学校(現・立誠ガーデンヒューリック京都)

in『モダン建築の京都』展 2021.9.25-12.26

2021.11 京都市立立誠小学校(現・立誠ガーデンヒューリック京都) pp.267 竣工: 1928年 鉄筋コンクリート造地上3階 設計: 京都市営繕課 施工: 不詳。別の場所にあった番組小学校1924年に消失した後現在地に移転、1928年竣工、左右対称の構成、縦長窓に歴史的様式を見る。残念ながら1993年に閉校したが2002年一部を保存改修し、ホテル、自治会ホール、図書室などを備える複合施設となった。

 かって同地には京都電燈株式会社の中庭があり、1897年1-2月「日本で初めてシネマトグラフの試写実験に成功」したところとして知られる。高瀬川に沿って市電が走っていたのですな。余談ですが小学校の閉校に伴い風俗営業店などの出店規制が緩和され、木屋町筋の治安が悪くなった。そのためか、現施設には立誠図書館と云う文化施設が併設されている。小生、かどっこ図書館で現代美術や映画関連の蔵書を楽しんでおります。

先日もお茶をしておりました。良い雰囲気です。

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<かどっこ図書館>メモリー 場所柄映画関係の蔵書、充実しております。

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<かどっこ図書館>アート 荒木経惟の『愛の劇場』(禅フォトギャラリー)もあります。

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2009.01

[ときの忘れもの拙稿] 『小さなカタログ、見上げる建築』 『親しげなヴォーリズ建築』

大阪毎日新聞社京都支局(現・1928ビル)

in『モダン建築の京都』展 2021.9.25-12.26

2021.11 大阪毎日新聞社京都支局(現・1928ビル) p.266 竣工: 1928年 鉄筋コンクリート造3階建地下1階 設計: 武田五一 施工: 大林組。「窓の星型は毎日新聞社の社章がモチーフ、…… アール・デコ調のデザイン、窓の庇はF.L.ライトからの影響が見られる」とある。小生は1970年代にギャラリー16で知り合った学芸員の方々が、飲み屋に繰り出す折に原稿を持ち込んでいたのを思い出す。その後、1999年に再生され多目的スペースになった後のギャラリー・アンデパンダンで講演(『指先の写真集』2003年、京都写真クラブ主催)などもしましたな、画廊が2階に移って雰囲気も変わった。モダニズム建築ですが、ほんと、懐かしがってばかりではいけません。

 

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[ときの忘れもの拙稿] 『小さなカタログ、見上げる建築』 『親しげなヴォーリズ建築』

読書『運命の裏木戸』

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18×10.4 cm 296.pp 28. 運命の裏木戸 アガサ・クリスティー(中村能三訳) No.1234 早川書房 1976年2月29日3版発行 

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「本ってものは!」とタペンスは言った。
 もう堪忍袋の緒が切れた、といった調子だった。
「なんだって?」とトミーが言った。
 タペンスは部屋の向こう側にいる彼を見やった。
「『本ってものは』って言ったんですよ」
「なるほどね、その気持はわかるよ」とトマス・ペレズフォードは言った。
 タベンスの前には大きな箱が三つあった。そのなかからいろいろな本が抜きだしてある。それでも、箱にはまだ半分以上本がつまっていた。
「考えられないくらいですわ」
「本がこれほど場所をとるってことが?」
「ええ」
「それをみんな本棚にならべようってのかい?」

「どうするつもりなのか、自分でもわからないんですよ。そこが困ったところなの。自分のしたいことって、そうはっきりはわからないものですわ。やれやれ」 p.15

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 ダランス氏の店は村へ行く途中にあった。曲がり角に面していて、ウィンドウに写真が飾ってある。結婚式の出席者一同の写真が二枚、絨毯の上で脚をばたばたさせている裸の赤ん坊の写真、恋人と腕を組んだ、口ひげのある若者の写真。どれもあまりいい出来栄えではなくて、すでに歳月の足跡を刻んでいる写真もあった。 p.187

 

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 本年2月に、ブログで連載した「英国ミステリー」早川ポケミスの該当号を、やっと見つけた(三冊です)。小生ブログでのイメージは → 

読書『オリエント急行の殺人』

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18×10.4 cm 164.pp 27.  『オリエント急行の殺人』アガサ・クリスティー(延原謙訳) No.150 早川書房 1954年3月25日印刷発行 

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 となりのコンパートメントとの仕切のドアのハンドルに、格子縞の大型の、濡れタオル入れが掛けてあった。その下に、おそらくハッパード夫人が手から取落したであろう。柄に浮彫りがあり、刀身は反がなくて先細になったまがい東洋ものの、安手な短刀がころがっている。刀身には一見錆のようなものが、たくさん付着していた。 p.136

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 乗客たちはぞろぞろと食堂車へ入ってきていて、めいめいテーブルをかこんで席についた。一種の期待と不安とで、みんな同じような表情を示している。グレタはまだ泣いており、それを反対にハッパード夫人が慰さめ力づけていた。 p.203

 

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 本年2月に、ブログで連載した「英国ミステリー」早川ポケミスの該当号を、やっと見つけた(三冊です)。小生ブログでのイメージは → 

鴨川をどり

1872年創演の先斗町・鴨川をどり、今年は5月1日(日)〜24日(火)迄でした。都をどり、京をどりを催す他の歌舞練場が工事などでお休みしているので拝見したいところでしたが、まだまだ、大人しくしておりました。季節は変わります。

 

読書『ホロー館の殺人』

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18×10.4 cm 164.pp 7.  『ホロー館の殺人』アガサ・クリスティー(妹尾アキ夫訳) No.121 早川書房 1954年10月15日印刷発行 

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「信用して打明けてくださったことを感謝します。」
女が去ると、彼は窓をすこしばかり開けて風を入れた。女の香りが残っていからだった。彼はヴェロニカの香りを好まなかつた。それは高価な香りではあったが、かの女の人柄をおもわせるように、圧倒的でしつこかった。 p.190

 

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 本年2月に、ブログで連載した「英国ミステリー」早川ポケミスの該当号を、やっと見つけた(三冊です)。小生ブログでのイメージは  → 

マドレーヌ ケベコワーズ by エーグル ドゥース

お江戸のお菓子、パッケージもおしゃれですな。エーグルドゥースのお店は、おフランスが突然、現れる驚きがあるとか、今回は焼き菓子を頂戴しましたが、機会があれば目白のお店でケーキに突撃したい。どなたが誘ってくれるかしら……

マドレーヌ ケベコワーズ

『アヴァンガルド勃興── 近代日本の前衛写真』at 東京都写真美術館


 東人から展覧会のチラシを送っていただいた。5月20日(金)〜8月21日(日)の会期なので、始まっておりますな。カタログは国書刊行会から6月10日発売されるそうで、図版収録約180点、208頁、3960円(TAX込)だそうです。目次と展示構成が同じでないかもしれないが、最初の章は「同時代の海外作家」その後に、大阪、名古屋、福岡、東京と続くようです。テキストはイェレナ・ストイコヴッッチと藤村里美。前者が2003年に発表したウェストミンスター大学での博士論文『1930年代の日本におけるシュルレアリスムと写真』(単書は2020年刊行)が展覧会の母体となっているのかしら。収録作家にマン・レイや山本悍右などの名前がありますから、東京へ出掛けたい。一部、会場の様子などがFbにアップされています…… ちょうど、6月28日〜7月31日の会期で金子隆一さんのオマージュ展示(MEM)もあるし、こんな時は、東京に住んでいたらと、羨ましい。

 

夏になりますな。

8.9×13.8cm

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 レッチベルグ線はスイスの山岳鉄道でスイスアルプスを南北に貫きベルンとブリークを結ぶ、1906年から始めたが事故続きの難工事で完成は1913年。

 

8.8×13.7cm

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 ポートサイドはエジプトのカイロから北東約200キロに位置するスエズ運河北端の都市。エジプトの避暑地でもあったと云う。19世紀はどんな様子だったのか。夏になりますな。上掲の二枚ともトヨダヤ道具店で見つけた絵葉書。他のものも、いずれ紹介したい。

古道具 トヨダヤ

丸太町通寺町西入ルに店を構えるトヨダヤ道具店の前を健康ライドで通りかかると、絵葉書が三箱も並べられている ── 思わずかぶりついてしまった。和モノがほとんどですが、リーズナブル、一時間ほど楽しみました。

 お店は、もともと大正元年創業の果物屋さん。モダンで洒落たデザインの看板は初代が造ったと云う。骨董を扱うようになったのは二代目からでおよそ70年、没後、引き継いだ三代目の現店主は広告関係の仕事をされていて、定年後になんとなく、店番をしていると笑いながら、店の歴史を教えてくれた。小生よりやや年長の気さくなお人柄。しばらく、売れ筋商品などを聞きながら世間話をしておりました(写真パチリとブログでのアップ、了解いただきました)。

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カメラもありますな