若筍煮は「おいしおす」


やげんぼり 末吉町店
名古屋の古い友人が天皇賞参戦で上洛。夕方、南座前で落ち合うとオルフェーブル惨敗でうなだれたまま、穴狙いでもビートブラックまでは補足していないとの話。大和大路を上がっていつもの「やげんぼり末吉町店」に案内する間も、覇気に欠けたままの足どり、アルコールが入れば元気になるでしょう(笑)、わたしは勝負をした事がないので、どうも様子が判らない。
 開店と同時の入店で板場の高級食材が気にかかるけど、われわれはコース料理をお願いして冷酒・鬼ころしの竹筒(大)。しっかり冷やした竹筒から緑鮮やかな青竹コップでグイグイと---この店の「鬼ころし」で何度、失敗してきたかと思い出すことばかり、大人になったのでゆっくり、ゆっくり味わいながら頂く。友人の横には印だらけの○○新聞、うらやましそうにたたまれたままである。
 初夏の畑(わけぎのぬた和え)風情からコースが始まった。板場の仕事を拝見しながらの食事(カウンター席が友人のリクエストだった)は、季節の移り変わりが直接感じられ贅沢な事といったらありません、この季節の京都は筍ですね、丁寧な仕事に素材の良さがひきたつ、友人がよく行く名古屋の割烹店ではこうはいかないらしい。お造りの後で若布と筍とこうの炊いたのが入った若筍煮は温かくて癒される。やげんぼりのルーツは高山のはずなので、わたしの口に合うのかと思う、美味しいからお酒も進み、すぐに一升となってしまった、酔いますね(コワイ・コワイ)。

鮮やかな市松の海に料理人の手業から焼き物があがるを、見るのは楽しい。

若筍煮

焼き筍

朴葉味噌焼

岩魚活造り、骨は揚げてもらいパリパリと食す、これには麦酒が欲しいけどね。

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追加の一品をお願いしていると、「舞妓さん来店のサプライズがあります、写真もOKですよ。」との嬉しい情報。これでは、酔っぱらってはいられません。登場した舞妓さんは、薄水色の地に桜の花弁が散った瑞々しい着物で、だらりの帯には手鞠の意匠、桜のかんざしも華やかで、良いですね。友人の顔もデレデレでみっともない事といったらありません。それぞれ横に座ってお酌をしてくれて、記念のツーショットも気楽にOK、贅沢ですね。お茶屋遊びを知らないわれわれには、眼の慶び、耳の慶びで充分舞い上がってしまいました。名前をお聞きしても直ぐにピンとこないので、花名刺をおねだりしてしまった。胸元に小さな手を添えて取り出すのだからこたえられません(涙)「祇おん・小芳」さんでした。縁起の良い花名刺の色彩も薄水色で粋でシックな取り合わせ、コレクターもこうでなきゃいけませんね。洗練されるためには、越えなくちゃならないバーも多いだろうな。
  

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祇おん・小芳さんとの記念写真。

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新幹線の時間までに余裕があったので、辰橋から縄手に抜け、お洒落なバーで二次会。先程の嬉しさをかみしめる一時だった。お決まりのバーボン「フォアローゼズ」の後、店長に「塩っ辛いウイスキーはありませんか」とリクエストしたところ、スコットランド・スカイ島のシングルモルト「タリスカー」を薦められた。日本の海から北の海か、凍えた海からは、厳しい食材と厳しい酒になるのだろうな、精神も鍛えられる訳だ。初夏の季節を満喫して食べたり飲んだりした直後だから、わたしには、むいていないし、日本人全部にも言えるだろうな。穏やかな海の恵みに感謝しなくては。