報告 ART KYOTO 2012

フェアは4月29日(日)まで

高野川の支流、東を望む
昔、池の周回コースを走った事のある宝ヶ池に来るのは30年ぶりだろうか、地下鉄に乗って四条烏丸から国際会議場までは8駅だが、わたしには大阪へ出るように遠く感じられた(これは京都人の一般的な感覚らしい)。さわやかなお天気で緑が眩しい。京都で初めての「国際的アートフェア」が開かれた国立京都国際会館アネックスホールへの出店は46ブース、早速、綿貫さんご夫妻を訪ねて「ときの忘れもの」のブース(32)へ。井桁裕子の『枡形山の鬼』がめだつ、すごいオーラだ。「人形作品」は展示の方法も難しく、赤いリボンが身体に流れる血のようでもありギリギリの決まるべき位置を作品が要求していると思った。大小不揃いの作品がキリリと絶妙に掛けられているのは、展示品の質の高さもさることながら、会場構成を担当された浜田宏司のセンスにおう部分も多いかと思う。五味彬の「村上麗奈 CP vintage 1989」も宮脇愛子の「Golden Egg」のブロンズも素晴らしい。タイトルとプライスを見ながらお金があればなーと思う事ばかり。

五味彬の「Byobu」が効果的

ナビゲートとしてブース案内をするイベントでは、お笑いタレントの「おかけんた」が草間彌生のエピソードを作品に即して解説。

綿貫社長と亭主とわたし、もちろん主役は井桁裕子の『枡形山の鬼』
ブラブラと会場内を回った。まず向かいのブース(33)の地元画廊・KAJIKAWAでジャン・フォートリエの油彩「高い草」と「タバコの男」に見とれる。まんが風の仕事が乱立する昨今のアートシーンで、価格は恐くて聞けないけど、きちんとした作品を拝見出来るのは有り難い。小山登美夫ギャラリー(ブース17)の管木志雄の写真も良いし、MA2GALLERY(ブース12)の松原健によるフォログラム(?)「The Sleeping Water - Hotel Continental Saigon」も楽しかった。そんな訳で、視覚に楽しみを与えてくれるフエアとなった。極めつけはギャラリー16(ブース06)の舟田亜耶子の3D写真「The Plastic Garden」 飛び出し方と写っている「かわいこちゃん」が半端じゃない。画廊スタッフの話しでは美形の作者が街で声を掛けて頼むのだとか、こうした写真の技法をレンチキュラーと云うそうだ。ギャラリー16では 森村泰昌 の大作・3点組みの「肖像 (泉1,2,3)」が掛けられていた。現代美術の価格レンジなので、なるほどなるほどとなっとくした。
 イタリアから帰国されている久保田昌孝画伯と再会し、懐かしい話しを幾つか。美しいお嬢さんと知的な夫人に紹介され、児玉画廊での1980年代を思い出した。フエアでは友人、知人、先輩とお会いする事が多く、新しい深い出会いへ発展する機会も期待できる、サラリーマンコレクター、宮津大輔の講演をお聴きしてから、もう一つの会場、ホテルモントレ京都へ移動した。

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KAJIKAWA C.A.O

MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY 後方がイタリアのARTantide、土屋現代美術画廊

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これまでのアートフェア会場であるホテルモントレ京都の所在は烏丸三条。街中のホテルの4階・5階のフロアが会場となっている。2フロアーで70以上の出店。しっかり見ようとすると疲れます。お世話になっているギャラリーマロニエ(523号室)に顔を出してから、コレクターから転身(深化)したマーク・ビアソンのZen Foto Gallery(521号室)を覗く。リーズナブル・プライスでロベール・ドアーノの写真が数点出品されている。マークは新しい写真集の他にも、戦前の写真雑誌なども復刻していて、日本語も堪能、笑顔がすてきな人である。そんな訳でツーショット写真をパチリ。
 さてさて、昨年のアートフェアでお世話になったDaeguartfair(421号室)の会長に挨拶しお茶をよばれる。そして日本語が堪能なLEE YUN BOKと世間話。氏はギャラリー椿で展覧会を開催されている作家で、記念にとカタログにサインをしてくれた。ブランクーシへのオマージュが進化した「ビーナス」は自由形で、氏のライフスタイルと一緒だと思った。

マーク・ピアソンとわたし、撮影・野口さとこ