木島櫻谷旧邸

in『モダン建築の京都』展 2021.9.25-12.26f:id:manrayist:20211205103019j:plain2018.4 木島櫻谷(このしまおうこく)旧邸 pp.172-177 竣工: 1913年 ── 画室改築1917年、 洋館増築1924年 和館: 木造地上2階、洋館: 木骨煉瓦造寄棟造地上2階 画室: 木造地上1階 設計: 不詳 施工: 西村平右衛門。 

 明治から昭和初期に活躍した四条派の画家・木島櫻谷(1877-1938)の展覧会が泉屋博古館(10月24日終了)に続いて、嵐山の福田美術館と嵯峨嵐山文華館(2022年1月10日迄)で開催されている。今年は木島再評価の年となっているようで、多くの美術ファンが画業に魅せられ、京の雅を堪能されている。木島は文学の素養を持ち、ウィキによれば「祇園などに遊びに行かず、野人とあだ名されるほど粗末な服を着て、漢籍を愛し詩文に親しむ晴耕雨読の生活を送った」と云う。小生は邸宅が初めて公開された2018年に拝見。洋館の玄関周りや螺旋階段の様子、画室の採光工夫、電話ボックスなどに「なるほど・なるほど」とパチリをした訳なのです。

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f:id:manrayist:20211205103033j:plain『モダン建築の京都』展カタログでは「衣笠絵描き村」と副題がついており、嵐電の白梅町駅から龍安寺駅にかけての北側に山口華楊、徳岡神泉、福田平八郎、小野竹喬、堂本印象らの画家たちが住んだと知った。木島はこの地区に最初に住んだ画家の一人だったと云う。

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 昔話になりますが、小生、立命館大学近くの古書店で1938年にパリで開催された『国際シュルレアリスム展』に際して発行された『シュルレアリスム簡約辞典』を廉価で見つけたのであります。── もちろんカタログ付。背表紙にタイトルがないのに、何気なく差し抜いた一本、驚きましたね。その時、これはどこから出たのだろうと思ったのです。日本画家が海外の最新動向に注目していたのは、よく知られる。きっと、「衣笠絵描き村」のどなたかの画室から飛び込んできたのでしょうね。想像は回る回る。木島旧邸から古書店、近いな……

[ときの忘れもの拙稿] 『小さなカタログ、見上げる建築』 『親しげなヴォーリズ建築』