ギュラリー・トーク「瀧口修造の詩的原理」

京都7時16分発ののぞみ204号で上京、10時に東京古書会館へ入った。今日は明治古典会「七夕古書大入札会」の一般下見展覧日、出品されているマン・レイデュシャン関係の限定番号を確認し、合わせて友人が気にしている瀧口修造デカルコマニーと水彩を拝見する。南画廊での展覧会出品作が含まれるので興味惹かれる。資金乏しきコレクターは眼福の一時に、身体で覚えたいと思う。額を裏返したり手にとって観れるからね。その後、玉英堂書店で鳥居昌三の「愛書家の手帖」(水曜荘)を見せてもらって、迷わず購入。昔、京都の古書市(黒谷で開かれた時)で出会った時、高くてパスした記憶があったので、故人を偲び、その愛書魂に敬意を表した。----いずれ、この本に言及する事になるだろう。田村書店でちょっと世間話をしてから、京橋のフィルム・センターへ移動し必要な戦前雑誌のコピー、「ひとで」の上映会場が具体的になって助かった。





田村書店の階段には国立新美術館の「マン・レイ展」ポスター

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 さて、今回の上京は、土渕信彦による企画・構成の瀧口修造の光跡II「デッサンする手」を拝見し、氏のギュラリー・トーク瀧口修造の詩的原理」の聴講。会場の森岡書店は光の状態がすこぶる良いので30点ほどのドローイングや水彩が清楚な装いで掛けられている。コレクターの人柄を感じる構成である。初見作も多いのでたずねると、近年も収集品は増えているとの説明、わたしなど「引退したコレクター」なので達観できるけど(嘘)、これだけあっても、まだ欲しいのだから、コレクター心理に呆れるね。

 近くのホテルに荷物を置いた後、会場に戻ると30名以上の来場者。年譜をもとに氏の論考をお聞きする。プラトンの洞窟の比喩からの展開やアラゴンの「スタイル論」の適用、それに「絶対への接吻」が別れの口づけであるといった指摘など、新しい発見が続く、充実した時間となった。これは瀧口を敬愛するが故のアプローチ。

 終了後、美しい女性をまじえ、近くの店で一杯。ホテルに戻るとマラドーナが負けそうだ、ビールを飲みながら寝てしまった。

展覧会のリーフレットと展示品の配置図