『アンドレ・ブルトンとピエール・モリニエ  ★もうひとつのシュルレアリスム史』展 at 羊歯齋文庫特設会場

 2月に報告した羊歯齋文庫が、サドに続きモリニエの展覧会を開いている(5月8日(水)迄)。ときの忘れもののブログに「嵐電北野線に『桜のトンネル』と呼ばれる区間がある」と書いたけど、夢さそう季節に、スキャンダルな人格、ピエール・モリニエを持ってきた、恐ろしく刺激するラインナップでの展覧会である。モリニエ人気は日本でも高く、生田耕作澁澤龍彦巖谷國士らが紹介しているのは周知。小生もいくつかの資料を手元に置いていた時期があったが、卒業した昨今は記憶をたどるばかり。そのモリニエに光を当て、ブルトンとのつながりから戦後シュルレアリスムの重要な作家として評価する今回の展示は、以下の文書のもと、届けられた。

『BRETON et MOLINIER~アンドレ・ブルトンとピエール・モリニエ ★もうひとつのシュルレアリスム史』を開催しています。第二次世界大戦後、シュルレアリスムは嘗ての栄光の時代に終わりを告げ、新たな展開期を迎えようとしていました。まさにその時期にブルトンモリニエを発見して大きな衝撃を受けます。フランス南西部のボルドーで官能的な作品を描いていた無名の画家にしかすぎなかったモリニエブルトンの企画により1956年にパリで油彩画を中心とした個展を開催することができました。シュルレアリスム宣言から100周年の2024年、本展では羊歯齋文庫所蔵のモリニエの油彩画や写真作品の他、ブルトンモリニエとの交流に関する貴重な肉筆原稿や書簡の展示を通して第二次世界大戦後の知られざるシュルレアリスムの動向も併せて紹介します。

 

 先日、拝見したが油彩画の孤高、かぎりある性。ブルトン旧蔵写真の艶めかしさ、几帳面な筆跡から伝わる「ブルトン節」への展開。小生は『封印された星』画廊での個展カタログや1959年の『エロス』展案内状などのエフェメラ類を涎状態で拝見しておりました。どうして、こうした印刷物が好きなんだろうと── 思うのです。