October 28, 2006
南仏・アルルのローマ遺跡から発掘されたと云う『アルルのヴィーナス』(紀元前1世紀)が見たくて、3時過ぎに京都市美術館へ行った。土曜日の午後で岡崎公園は人だらけ、20分待って『ルーヴル美術館展』の会場へ入った。
ギリシャ彫刻には虹彩がないとマン・レイは言っていたけど、『トゥキュディデスの肖像』などの数点には認められた(これれらは、クラシック時代だから違うか)し、『アレクサンドロス大王の肖像』では頭部像でも顔の向きなどの表現に工夫があってそれなりに面白かった
彫刻を見ていると大理石の種類が気になった。キラキラ光る石やしっとり濡れた石、白やピンクの地肌など見ていて飽きない。修復した手足と、基の古石との差異を確かめつつ鑑賞する。展示会場の最終室では3点の大型立像が置かれていた。これに使われた大理石は、それぞれパロス産、ヒュメトス産、ペンテリコン産。中央に置かれた目当ての『アルルのヴイーナス』に使われているのはアテネ近郊ヒュメトス産(推定)との事。ギャラリー・スコープで覗いてみたら、キラキラ光る結晶に覆われていて素敵だった。その他には、レネア産などがある。
『アルルのヴイーナス』の短い説明文には「ヴェルサイユ宮殿の鏡の間に置かれていた。ルイ14世の旧コレクションから、1798年のフランス革命によって接収された」とあった。
October 25, 2006
14日からロードシューが始まった『ブラック・ダリア』に関する話題なのだが、新しい映画となっているのを知って驚いた。それは、この映画に関連した『ブラック・ダリアの真実』と云う邦題の書籍をアマゾンで購入していたからである。なんと、マン・レイに言及し、関連する図版も多数含まれた一本。
この本については知らなかったのだが、先月13日に、わたしのウェッブ・サイトを見たと云う西海岸(?)在住の未知の人からメールがあって。「マン・レイに関する総ての事柄に関心があるのなら、ブラック・ダリアの真実と云う本がありますよ、気が狂った話ですが、興味がありましたら、どうぞ」と云った誘いだった。それで、注文し、読みかけたら、映画の発表。原作の邦訳もあるかと調べたら、早川書房から東理夫役で8月31日に刊行されていた。上・下 二分冊でそれぞれ840円。
今日から読み始めたのだけど、面白い。謎解きの興味もあるが、どうも、作者の感じている事と、わたしには共通点があるようだ。マン・レイがハリウッドに住んでいた時代の雰囲気が判って興味深い。
October 21, 2006
京都国立近代美術館で開催中のプライスコレクション『若冲と江戸絵画展』を見た。今日が時代祭の巡行日だったのを忘れていて、美術館に行って驚いた。しかし、館内は逆にスペースがあったのでやれやれ。拝見しながら心惹かれたのは
26 梅花猿候図 40 三千歳図 45 旭日雄鶏図 60 鶴図 61 寒山拾得図
でも、やはり、若冲と蕭白が良いな。個人のコレクションだから、まいってしまう。最初の収集品『葡萄図』をみながら、マン・レイのささやかコレクション主は、あせらずに自分だけの基準で集め続けようと思った。この日のピカ一は、曽我蕭白の『鶴図』、見ていて胸がじんとなった。
October 6, 2006
今朝は雨、四条烏丸から乗った地下鉄も五条、京都駅と空席が出来て座れる毎日、ムム、むかいの席に銀縁眼鏡があるぞ、寝ている(?)サラリーマンのものかしら、でもね。竹田止まりの地下鉄を降りると、眼鏡だけがぼつんと緑の座席に残っている。可哀そうに誰のかしらと、改札口を出たら、券売機のところで女性が会話。見ると和服姿の妙齢な婦人の後ろ襟に洗濯バサミ。着物を着るときセンター合わせに留めて使うけど、そのまま駅まで来てしまったのだね。朝の二つの出来事が妙に印象に残った。
と昼間に書き込んだのだが、こんな日はおかしなもので、帰宅途中の烏丸駅、阪急電車のプラットホームが人だらけ、南茨木辺りで人身事故があったとアナウンス。関西の私鉄ではダイヤの乱れあまり発生していないように思うのだが。
September 17, 2006
みすず書房刊(2006.8)の白倉啓彦著「夢の漂流物」を開く。興味深い話題と鋭い批評眼でぐいぐいと引き込まれる。
September 10, 2006
もちろん400字詰め換算ですが。 ---- 終日、原稿書きを続けて今章が52枚となった。もっかのところは下書きを単純に入力するだけの作業。後、10枚くらいだから、全部で180枚程度か、これに、前書きとあとがきにあたる部分を付け加え200枚の分量。そろそろ書面のレイアウトと全体の構成を考えなければ。恐らく、どんどんけずって2/3ぐらいの分量で脱稿となるだろう。銀紙書房の新刊については、いずれお知らせしたい。そんな訳で、このところ日録への書き込みがおろそかになっている。
September 2, 2006
平成13年の暮れに、買い逃した写真がある。眼を閉じて寄り添う二人の女性の、官能的で夢見る表情が素敵な一枚で、印画紙の下部にヴァルドグレースのアトリエ住所とマン・レイのサインがあった。画廊で出会った時には、赤い売約済のサイン。値段も手が届きそうで、本当に残念な写真だった。先日、その画廊のオーナーと、逃した写真の話をしたばかりだったのだが、地下鉄車内で、図書館で借りた書籍「サン・テクジュペリ伝説の愛」(岩波書店、2006年刊)を読んでいて驚いた。あの写真が図版で紹介されているのではないか。二人の女性の内、ジョルジュ・ユニュ夫人は知っていたが、左手のより若くて魅力的な女性を知らなかったのだ。以前からの知識では単にユニュの「女友達」、しかし、なんと「星の王子さま」の作者、アントワーヌ・ド・サンテクジュペリの夫人であったのだ。情熱的で話術の才にたけたエルサルバドルの女性、コンスエロ。彼女の物語が、前述の本に描かれている。
写真が載った73頁に見入っていたら、わたしの方をじっと見ている女性に気が付いた。名古屋市営地下鉄の車内。きっと「サン・テクジュペリ」の名前に興味を持ったのだろうね。次々と夫を亡くした魔性の女、夫の神格化と共に消されてしまったコンスエロが蘇る。車内でわれを忘れてしまった。しかも、じっとそんなわたしをみていた人がいたのだから、驚きである。これも又、ひとつの「伝説」となるのだろうか。