浅川マキの声

 3時過ぎからカルメン・マキを聴きながら校正。歌詞の重さと声のクリアーさ加減が合わないかなと思いつつ続ける。しばらくして、浅川マキのダークネスに変えたら、資料と雰囲気が一致した。1938年1月にパリで開かれたシュルレアリスム国際展の出品作品、日本人の岡本太郎も出しているけど、デュシャン作品はマン・レイやロッシュの持ち物からも出ているんだな。コートを着込んで懐中電灯で照らすエリュアールの姿などを思い出すと、浅川マキの声が、心に響く「ちょうどこの港が賑わっていた、あろ頃のことを」と。外に出掛けず、禁欲的な作業を延々と続けながら、何故やっているのだろうかと、あらためて自問する。つい、マネキンの作者達も書き込んでしまった。「キャプテン、良い友達とも別れってしまったよ」。

 風呂に入って、夕食たべて。日常生活とマン・レイ狂いのズレ方は、この部屋と世界との繋がり方にあるのだろうな、見知らぬ土地で初めて会うような人物。パリ・フォトのブースに今回の本を並べたら、きっと、興奮するような日々がおとずれるんだろうな、浅川マキは続けて歌っている「今日はあの子の亡骸に会いに来たんだ」