久しぶりの良い天気。義父の三回忌法要に妙心寺へ出掛ける。塔頭の一つでお抹茶を住職から頂く。黒い楽茶碗に緑のお抹茶。器を回すとお茶も動く、この色彩は苔の感じかな、庭の緑が掌で回って、なんとも落ち着く。禅寺の凜としたたたずまいだ。本堂でのお努めを終え、南門の方へ向かうと三門に、人の列。一般公開をしているようだ。それで、重要文化財(1599年造営)の楼上へ家族と共に上がる。中央に観音菩薩像、左右に別れて十六羅漢像、天井の雲間には袖を翻す人面鳥身の迦陵頻伽や楽器、飛龍。柱や梁、組物などが狩野派の絵師達によって極彩色豊かに描かれている。観光ガイドの説明では、楼上は極楽世界であるそうな。通常は年に1日、6月18日の山門懺法会の時のみ開かれるそうで、一般公開は23年ぶりとの事。その為に、色彩が残っていると話された。天井の楽器にひも(?)を付けて音がでないよう描いているのは、懺悔の場で音がでないようにした為だとも聞いた。3月24日から京都国立博物館で始まる「妙心寺」展が楽しみだ。京都に住んでいると文化の奥行きには恐れ入る、名古屋ではこうはいかない。
昼食の後、メールを確認すると、金曜日に注文した戦前の資料を店頭に用意されたと古書店からの連絡が入っていた。それで、自転車で京都造形芸術大学前の文庫堂へ。西院からだと遠いがワクワクして一直線に店舗へ、「小冊子20頁 概ね保存良」との説明だったが、状態はすこぶるよろしい。この購入は嬉しい。5年に1回、いや、10年に1回の出会いじゃないかしら。1932年に東京でスタートした「巴里東京新興美術展覧会」にはマン・レイの油彩が2点招来されていて、目録に図版も掲載されていると思って、ずいぶん捜し、やっと手に入れた、東京展の目録には図版が無かったのでがっかりした経験があるのよ、それで、京都の岡崎勧業館で翌年の1月25日から開催された目録が欲しかったのである。こちらには、ちゃんと表紙裏に「サン・ジャン・ド・リュツツの夜」が印刷されている。同展は巡回後、東京の文字をとり「巴里新興美術展覧会」と名前を変えている。---銀紙書房次回本の目玉になる資料じゃないかと思う。他にこの時代のものはありませんかとたずねたが、日本画ばかりでと云われてしまった。
絶好調なので、萩書房、紫陽書院、欧文堂、全適堂、ガケ書房、福田屋書店、竹岡書展、井上書店、吉岡書店、水明洞、中井書房、三月書房、尚学堂書店と回る。河野仁昭の「京都の文人」(京都新聞社、1988年)と調査中の戦前の詩人の画集を求める。ここにも、面白い出会いがあったのだが、これについては、いずれ報告したい。結局、イノダコーヒで購入本を楽しむ時間を持つ事は出来ず、帰宅、7時前になってしまった。ニコニコしてブログを書き込む、幸せ、そして、感謝。
夕食後のデザートに、宮鼓菓舗(中京区壬生西土居ノ内町35 電話075-311-0783)の「いちご大福」を食す。白あんが少なく、イチゴが瑞々しくて美味しい。近所で評判になっていると家人に聞いた。どうりで---