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帰省して8月25日からの名古屋市美『画家たちと戦争:展』の後期展示を拝見した(一階で横山大観から福田豊四郎、二階で恩地孝四郎から吉岡堅二)。戦前期の日本画革新運動についての知識はないが、拙著『三條廣道辺り』で言及した天野隆一の詩集『紫外線』(青樹社、1932年刊)に挿画として用いられた「天野君之像」の作者が学友の福田豊四郎だったので、特に親近感を持って観た。どの仕事も迫力があり、『落下傘』(1943年)はなんともよろしい。この福田と共に活躍した吉岡堅二の作品群も良かった。どちらも、カタログの図版では判らないボリュームで、独自性を貫いている。今回の展覧会は名品尽くしで、それぞれが、個展を開催しているように思えた。学芸員の山田諭が付けた解説文のタイトルは「福田豊四郎の「飛翔感」」と「吉岡堅二の形態と質感のダイナミズム」だった。1階で福田を観た後、2階の吉岡に進むと類似性に気づいて、再度、1階の作品を確認したくなる。展示空間における二人の距離感演出、学芸員の展示技術に改めて感服した。
その後、愛知県美術館に移動して『芸術植物園』(10月4日迄)を楽しむ。わたしの関心領域から取りあげると、下郷羊雄の『メセム属』の展示方法が洒落ていると感じた(二冊使っての展示)。また、マン・レイつながりからロバート・ジョン・ソートン編の『フローラの神殿』を実観できたのは有意義だった(『自由な手』のネタ本だからね)。その他ではタルボットのフォトグラムとブロスフェルトの拡大写真。それにしても、愛知県美術館は展示にセンスがありません。困ってしまいます。朝日ジャーナルの原物を示した中平卓馬には感謝したけど、北脇昇が押し込められていけません。でも、常設展示にマン・レイの『回転扉』(1972/1926)全10点が掛けられていたのは嬉しかった(同館では初めて観た)。
夜は兄弟で飲んだくれておりました。
名古屋地下鉄 名城線栄駅