平木収さんお別れの会





今回の上京の目的は、写真評論家平木収さんのお別れ会への出席。ホテルを早く出て都営新宿線で市ヶ谷へ。会場はアルカディア市ヶ谷だが、近くのドトール・コーヒーでモーニング。靖国通りを見ると京都写真クラブの森岡誠氏。外に出て手を振ると直ぐに気付いてくれたので、しばらく、世間話。10時前に会場の5階「穂高」に上がると、すごい参加者の数。知った顔もチラホラ。関西の友人達も多い。定刻から10分遅れて式が始まった。司会進行は竹内万里子さん。「平木!」と呼びかける世話人代表の金子隆一氏。京子夫人とのパリでのエビソードを披露する来賓の石原悦郎氏。氏が言葉をつまらせ、なんとも悲しみを誘うスピーチだった。その後、クロニカルなスライドの上映。わたしが平木収さんと始めて会ったのは、ツァイト・フォト・サロンだったか、川崎市民ミュージアムだったか、はっきりしないが1980年代の後半。展示品に潜り込ませた「アジェのビンテージ・プリント判りますか」と云う問いかけだった。美術館のバック・ヤードで彼のスナップを撮ったけど、わたし自身の青春につながる出来事。平木さんのお別れ会の知らせを受けた時、上京したいと思ったのは、甘く切ない「青春」の思い出なんだろうな。献花を捧げ、笑顔の遺影に手を合わせると、いろいろな時間が蘇ってきた。近年では京都写真クラブでの事柄が思い出される。飲んだり踊ったり、アルル・フォトの話題も伺った。つい、先日の事なのにね。300人以上の出席者であったろうか、会場を出ると会葬者への記念品に追悼文とインタビュー、写真作品から構成された「平木収 1949-2009」が渡された。昼前になり、顔見知りのギャラリスト、写真作家、大学の先生と連れだって近くの中華料理店でフカヒレあんかけそば、そしてビールを一杯。故人の思い出話をいろいろ、この国で写真が文化や芸術として根付き始めて、30年程だろうか、平木さんの仕事の先見性と、コミニケーション力に、あらためて感心させられた。
 その後、表参道に移動し森岡パパと合流して、ざる蕎麦でビール。故人の話をさらに、いろいろ。気持ちの良いお天気。食後にブラブラと竹下通りから原宿辺りへ。パパと別れてから神保町に出て、日曜日でも開いている古書店の幾つかを冷やかし、村山書店で2005年のパリ・フォトのカタログを見つけ購入。新幹線に乗る前に八重洲地下街古書店も覗き、特選おつまみ弁当とビールをかかえ、5時50分発ののぞみ123号へ。平木さんの小冊子を読みつつ、京都までの時間を過ごす。東京タワーの後方に夕陽が残り、しんみりとした気分となった。明日から働かねばと思う。人生を続けなければ-----