南仏紀行-24 カンパーニュ・プリミエール通り

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三月初旬の寒い朝。モンパルナス墓地を出て、エドガーキネ大通りをメトロのラスパイユ側に向かう。マン・レイのアトリエがあったカンパーニュ・プリミエール通りが直ぐに始まっているはずだ。ギマールによるアールデコ様式の地下鉄入口から交差点の反対側を見ると、一段高いアールデコ装飾のアトリエ風の建物に気付いた。(126頁)

 

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パリのこのアトリエで仕事をしていた頃のマン・レイは、キキ・ド・モンパルナスと一緒だったのよね。マン・レイはニューヨークの両親にあてた絵葉書に「ここに住みます。部屋代は月二五ドル--すてきなところです!」と書いている。昨年の暮れ、写真評論家の平木収から「石原さんイストラル・ホテルに泊まったことあるの」と尋ねられた。ホテルはアトリエの北隣り。二九番地だが二人はここに部屋をとっていた。デュシャンも利用したし、後半にはリー・ミラーも泊まった。バスローヴを羽織ったマン・レイの背後にリー・ミラーの裸体写真がピンナップされている写真もあったなと想像は膨らむ。次回、パリへ来る時には泊まってみたい。(126頁)

 

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今も使われていると思われる建物の内部を覗くと、二層式で画家のアトリエ向きだろうと想像できる。(126頁)

 

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カンパーニュ・プルミエール通りは三〇〇メートルほど、先に進めばリュクサンブール公園に続く。ゴダールの映画『勝手にしやがれ』のラストシーンで、ベルモンドが撃たれたシーンもこの通り。 (128頁)