7日間ブックカバーチャレンジ

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メールアーティストで落合文化史研究家、そして、もっかときの忘れものブログに「美術・北の国から」を連載されている中村恵一さんから「7日間ブックカバーチャレンジ」へのお誘いをいただいた。これにはルールがあるそうでFacebook において「好きな本を1日1冊、7日間投稿。本についての説明は必要なく、表紙画像だけをアップ。更にその都度1人の友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする」というもので、読書文化の普及に貢献するためと云うし、楽しく元気な毎日へとも思うのでお受けした。ネットで確認すると有名芸能人も含め多くの賛同者を得てチャレンジは盛り上がっている様子。友人、知人の哲学、詩歌、欧州旅行、写真、音楽、美味しいもの等々、それぞれの個性溢れる選書から関心領域を知るのは興味深い。わたしの場合は、終活をしている関係で手許に本がなく、かろうじてのもろもろを、二十歳のころの愛読書で現在も入手可能な文庫を中心に以下七冊を紹介した。ただ、ステーホーム下の心理につけこむネズミ講のような広がり、情報氾濫で、発信が埋没するような危惧もみられ、バトンはこっそり渡すことにした。

 友人、知人の中にはブーム以前から「ブックカバー」を使いつつ適確な内容の紹介をしてきた本好きも多く、「読書文化の普及」への貢献は、こうした人達の日々の発信にあると思う。よい出会いも悪い出会いも偶然に宿すものとして、カバーから中身に進まなくてはと思う。古本屋さんに行きたいけれど、休業要請対象業種だそうだから、自粛はつらおすな。

 七冊それぞれの偶然に開いた頁から若干の引用をしておきたい。

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 一日目 4月26日(日) いいね!--20

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伊丹十三 『女たちよ!』 文春文庫 1975.3.15発行 2刷

「すべての奴隷の唯一の武器がそうであるように、弁舌だけがアイルランド人の武器であった。そうしてそれがまた快楽でもあった」55頁

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二日目 4月27日(月) いいね!--24 超いいね--1

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安倍公房 『壁』 新潮社 1971.3.10発行 5刷

「花文字のタイトルが現れ、つづいて現れたのは例の曠野風景でした。ぼくの胸にひろがっているあの不毛の曠野でした」(101頁)

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三日目 4月28日(火) いいね!--17 超いいね--2

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原田康子 『挽歌』 角川書店 1965.10.20発行 10版

「わたしたちはストーヴの脇のテーブルについた。ストーヴは煙突の下の曲りが真赤になるほど燃えているので、ぬれた二人の上着からはじき白い湯気が立ちはじめた」(62頁)

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四日目 4月29日(水) いいね!--18 超いいね--1

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朝日ソノラマ編 『私のカメラ初体験』 朝日ソノラマ 1976.6.25発行

「ぼくが、初めてカメラを手にしたのは、ハタチを過ぎてからである。 死ぬほど好きなオンナのコがいた。彼女の名をK子としておこう。K子はぼくが親しくしていた学友の妹である」(102頁)

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五日目 4月30日(木) いいね!--22

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林哲夫 『喫茶店の時代』ちくま文庫 2020.4.10発行

「本書はひとつのコレクションである。子どもたちが牛乳瓶の蓋やきれいな小石を集めるのとまったく異ならない。喫茶店という文字を見つけると嬉しくなってメモしていく」(3頁)

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六日目 5月1日(金) いいね!--18

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玉村豊男 『パリ 旅の雑学ノート』新潮文庫 1983.4.25発行

「歩行者は歩行者で、信号の色や歩道の有無にかかわらず道路を渡るのは歩行者本来の権利、クルマなんかに侵されてたまるものか、というような形相である」(167頁)

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七日目 5月2日(土) いいね!--16

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加藤郁乎 『後方見聞録』 学研M文庫 2001.10.19発行

「あのときのタルホ卿の物わかりのよすぎる神父みたいな、あるいは一休禅師の再来みたいな一夜の恩義を忘れることはない」(14頁)

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