ゼミ展示『シュルレアリスムと雑誌』at 京都産業大学ギャラリー

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京都産業大学壬生校地むすびわざ館2階 壬生川通松原下ル

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京都産業大学ギャラリー 

 

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チラシ(表) 29.7 × 21cm

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チラシ(裏)

 

● 小生の健康散歩コースに位置する京都産業大学ギャラリーで、シュルレアリスムの資料好きには堪えられない展覧会が昨日から始まった(9月21日〜10月2日)。長谷川晶子ゼミの学生(37名)らが企画されたもので、貴重図書を含めて24タイトル。展示は『シュルレアリスムと雑誌』と題して同大学図書館所蔵の『ミノトール』(1933-1939年)と『トリブル・ヴュー』(1942-1944年)を中心にシュルレアリスム運動をわかりやすく紹介している。大学文学部の学生減が顕著になった昨今、長谷川准教授による嬉しい関西での薔薇の開花と思う。対戦間のアメリカで英語を使うのを拒否し仏蘭西語でとおしたアンドレ・ブルトンの態度に、孤高の知性を感じる小生は、彼の著作が並ぶ空間に、特別の愛を感じるのです(大げさかしら)。
 同大学図書館所蔵は前述2冊の他にブルトン、スーポー共著による『磁場』(1920年、オ・サン・パレイユ版)とブルトンの『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』のサジテール版(1924
年)とクラ版(1929年)の2種。彼の地の戦前刊本は仮綴じ形式の限定部数刊で使用用紙を幾種類も変えた他、革装丁による化粧、著者自筆テキスト貼り込みなど、個体によって評価・希少性に差が生じ、書籍はテキストが読めれば良しとする態度とは異なる文化と時代背景を持っている。この点において、図書館蔵のものは、表紙にバーコードが付いた管理シールによって、書物のオーラをそぐ方向で生きながらえた感覚。雑誌の合本もしかり、動物園のゲージの中ですな(嘆いてはいけませんが)。

 個人所蔵のものは、稀覯本とは言えないかもしれないが、それぞれに現在に続く貴重な出会いの物語を秘め、研究やインスピレーションに寄与した幸福感と共に、ここにあるように思う。わたしの関心領域に近いものもあり、最近の復刻版による研究への貢献がひろく行われている状況を知ることができたのは、ありがたい。----『ナジャ』の手書き原稿ファクシミリ版が刊行されていたのは知らなかった。

 

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ブルトン『ナジャ』1928年と1964年

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『ナジャ』の手書き原稿ファクシミリ版 2019年

 

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右からポンピドゥー・センター『シュルレアリスム展』カタログ(2002年)、ブルトン狂気の愛』(1937年)、ロザリング・クラウスとジエーン・リヴィングストンによる『狂気の愛、写真とシュルレアリスム』(1985年)のマン・レイ作品を紹介する頁。

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左から『メキシコ、ニューヨーク』(2003年)、『メキシコ』(1939年)、『ポサダ』復刻版(1930/2012年)

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アンドレ・ブルトンシャルル・フーリエに捧げるオード』(1947年)

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 この展示で特筆しておきたいのは、ブルトンの肖像写真2点で、ジゼル・フルンによる1939年のもの(右)と、アンリ・カルティエ=ブレッソンがフォンテーヌ街で1961年に撮影したもの(左)。後者は近年、松本完治訳でエディション・イレーヌから刊行されたブレッソンブルトンによる『太陽王アンドレ・ブルトン』で紹介され、眼にしていたところなので、特に嬉しかった。かさねて、感謝申し上げたい。

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 尚、会場では京都産業大学図書館所蔵品の他は、三脚、フラッシュなどを使用しなければ撮影可能。楽しく拝見した後、展覧会のチラシとA4版10頁のパンフレット(展示品リスト含む)を頂戴して帰宅。ゆっくりパネルの解説文を読んでいる。

 

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 『マン・レイ』の解説パネル最終段には「今回展示されているブルトンの『狂気の愛』(1937年)にもすばらしい写真を提供している」と記されている。展示で開かれていた頁にあったのはブラッサイの写真だったが、上段のパネルにはマン・レイ撮影の『ひまわり』の写真(部分)が、きちんと紹介されている。筆者に「巨大太陽を想像させるひまわり」について、その種との関係、揺れ動くブルトンの心について尋ねてみたい。---なんて、食後のビール頭で思っています。

 

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 解説パネルは履修生それぞれが、関心を持つテーマを選び担当、時間をかけて作り込んだそうです。ありがとうございました。