林哲夫作品展『詩人の肖像』at メリーゴーランドKYOTO

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会場: メリーゴーランドKYOTO 中央油彩『トラディショナル』

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 午後から四条河原町下ルの壽ビルディングへ出掛け、林画伯の個展『詩人の肖像』を拝見した(10月13日迄・木曜定休)。展示は物故の詩人、画家、音楽家などを描いた油彩画を中心に、水彩画、コラージュ、古本などで構成した林ワールド。「自分の顔に責任を持つ年齢」をはるか昔に超えてしまった小生には、画伯の筆先から生まれた柔らかい頬や唇に「身体や周囲の人たちへの責任」もあると改めて考えさせられる鑑賞となった。最近は体幹の衰えを自覚するので、他人様にどのような顔を向けているのかと、不安になるのですな。画伯の絵から頬にスリスリしたくなるような温かみと、唇にキスをしたくなるエロスを感じるのです。スクリーンや書物の中で生きているイメージを記憶から取り出し、会場で重ねると哀愁が漂うのです。これが歳をとったと云うことかしら。

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『T.H.』(上段)、『Hope』

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中原中也』(右)、『ジーン・セバーグ

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澁澤龍彦

f:id:manrayist:20211002212217j:plain坪内祐三

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 林画伯の仕事を拝見しながら、描かれた著名人の人柄や作品へと導かれるのではなく、その人にまつわる人たちを目に浮かべたのは、どうしてだろう。例えば若い頃に熱中した澁澤龍彦からは悲しげな矢川澄子を、1979年に亡くなった女優のジーン・セバーグからは『勝手にしやがれ』で共演したジャン=ポール・ベルモンドを(先月6日に訃報に接したばかり)、坪内祐三の水彩スケッチからは、『ツボちゃんの話』を著した佐久間文子を(坪内は今年の1月に亡くなり、林画伯は追悼文を発表されている)…… 故人の肖像から「周囲の人たち」が自然に語り出すのは、魅力のある表現故だろう。あるいは、わたしたちの年齢に起因するのだろうか。

 身につまされる『自画像』を拝見しながら、自身を真摯に見つめ続けなければならない、画家の仕事と云うのは、大変なんだと思った。気楽なカメラ・パチリの小生など、健康散歩のノルマ5,000歩でお茶を濁すばかり。いけない、3時間は外出したのに歩数2,792  今日は落第でした。

 

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林画伯

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詳しくは画伯のブログdaily-sumus2を → https://sumus2013.exblog.jp/32424523/