松尾芭蕉『野ざらし紀行図巻』 at 福田美術館

 
 松尾芭蕉直筆挿絵彩色の『野ざらし紀行図巻』は『奥の細道』以前、40代の芭蕉が1684年8月に江戸を出発し、伊勢、伊賀、近江、京都、名古屋などを巡り翌年4月に江戸へもどった行程と道中に詠んだ歌を挿絵をまじえ記したもので、これまで挿絵のない天理本のみが確認されており、本作の再発見は極めて貴重。1940年代に大阪で展示された後、長く所在が不明だったものを福田美術館が購入(2021年12月)、今回公開された。

「野ざらしを心に風のしむ身哉」芭蕉 「秋十とせ却て江戸を指古郷」芭蕉

「手にとらば消んなみだぞあつき秋の霜」芭蕉 伊賀上野帰郷

「しのぶさへ枯て餅かふやどり哉」芭蕉 熱田神宮茶屋