ルイジアナ・レビュー 1972年


34.6×24.7cm, pp.36

    • -

マン・レイが欧州の公立美術館で大規模な個展を開いたのは最晩年の1971年に入ってからで、作者は81歳の高齢となっていた。別れまでのカウントダウが近づいていた段階である。それは、若い頃からダダやシュルレアリスムの運動体の中で共に活躍した人達が亡くなり、未採掘の鉱脈として学芸員達が注目し始めた結果だと、皮肉な面を含めて思う。美術館側の企画として立てられたロッテルダムのボイマンス美術館(1971.9.24-11.7)からパリの近代美術館(1972.1.7-2.28)、続いてデンマークルイジアナ美術館(197.4.12-5.3)へと巡回した展示はマン・レイの仕事を殆ど総て紹介する総数280点に及ぶ展示。これまで、この巡回展に関する資料を集めてきたが、ハムルバックにあって、お金持ちの美術館と聞くルイジアナ美術館のカタログは、未見のままだった(架蔵は大判のポスターのみ)。それが、古書サイトの記載に展覧会の出品目録の載った雑誌「ルイジアナ・レビュー」の特集号が刊行されていると知って注文してみた。先日、届いた同誌の大判で穏やかな感じは、表紙に使われた『想像上のサドの肖像』がアメリカ時代の制作品から選ばれているためだろう。本文はオランダ語とドイツ語なのでお手上げだけど、画像での楽しみと雑誌の手触りは万国共通。花粉症で引きこもりの身には、有り難い招来品です。ところで、この雑誌、オーストラリアのニューステッドの古書店にあったのだけど、メルボルン北西部の田舎町、郵便局の追跡番号取り込みにトラブルがあって、日本に入るまで行方不明、結局、17日かかって到着した(ヨカッタ)。律儀な日本の制度に慣れていると、心配毎が増えますな。