「ほんとうに楽しそうな時間を過ごしていた」

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津高和一『MAN』1970 

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これまで津高和一の仕事をほとんど知らなかったが、いいですね、会場で唸っておりました。山村さんのお住まいと同じ西宮市内にアトリエがあった津高、最初期に惹かれた『母子像』から、一貫して求め続けた津高作品、母と子の収集の物語を読むのは短絡的だけど、判るな、判りたいな。一同に揃った山村コレクションで吉原治良の様々な展開を確認できたし、齋藤義重、山口長男、オノサトトシノブなどの重要作が並ぶと、コレクターの眼のするどさに最敬礼させてもらえる幸せを感じる展開となった。

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オノサト・トシノブ『分割-1260』1962

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山口長男『座』1961

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村上三郎『作品』1963
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山口勝弘『作品(ハート)』1963

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会場で読んだ元永定正さんの追悼記事。── 1961年の出会いを思い出し「そのとき山村さんは三十四、五歳の青年社長で、すでに現代美術の大コレクターだった。無駄なことはほとんどいわないし、作品を見てしまえばさっとどこかへ引き上げてしまう。まことに颯爽としたものだった」大作を購入してくれた山村さん、リサイクル・キャンペーン広告の仕事での付き合いなどのあと「誠実で頭のまわる山村さんは、ぐうたらでチャランポランなところも多い私から見ると、少し堅い感じもあったけれど、お酒もすきな人だった。いつもコニャックをスレートでのんでいた。そしてゴージャスなナイトクラブへ行くよりも、自分で見つけた阪神間の小さいけれど感じのよいスナックでほんとうに楽しそうな時間を過ごしていた」

 

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 嶋本昭三『この上を歩いて下さい』1956/84