マン・レイの晩年と複製制作についての論考


季刊『成城文藝』239号 成城大学文芸学部 2017.4.28発行 21×14.8cm pp.88  

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マン・レイ研究の俊英・木水千里さんが、昨年の12月3日に京都工芸繊維大学で行われた「マン・レイシュルレアリスム」と題したシンポジウムで発表された晩年のマン・レイと作品の歴史化への対応、加えて複製品に関する鋭い指摘が、論文「マン・レイの晩年、66年の大回顧展と複製制作を巡って」となって『成城文藝』に発表された。シンポジウムの場でスライドを交え口頭で展開されたマン・レイの戦略を、改めて読ませていただきながら、諸般の事情で複製品しか追えないわたしの様なコレクターから、オリジナル神話を解放し「新種のコレクター」になる道を残してくれた作者の真意を教えてくれた事に感謝した。---木水さんは「マン・レイは、オリジナルと寸分たがわぬ完璧な複製を作るのでも、オリジナルと同じではない複製を否定するのでもなく、複数のヴァリエーション違いを意図的に作ることで、いわば作品を全てオリジナルにするのである。」(39頁)と記している。



42-43頁