「一日研究会」

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田中敦子『作品<ベル>』1955/88

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山村コレクションのすごいところは、当初から公共の財産とすべく集め、欧洲から具体作品を纏めて買い戻し、続いて失われた作品の再制作を作家に依頼。さらに、作品ばかりでなく、資料整理やオーラル・ヒストリーの活用など、先見的な行動を続けたところにあると思う。

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白髪一雄『超現代三番叟』1957/85

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村上三郎『作品<空>』1956/85

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高松次郎『題名』1971/83

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李禹煥『関係項』1983

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高松次郎『脚立の紐』1963-85 赤瀬川原平『梱包・シャベル』1963-85

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ケースに国立国際美術館で1985年4月20日(土)の一日だけ非公開で催されたコレクション展示の案内状やスナップ写真などが広げられていた。美術館では「一日研究会」と呼んだらしい。山村さんの気持ちがストレートにあらわれた文章なので、ウルウルと読ませていただいた。

 「私が現代美術のコレクションに手を染めるようになってから、30年の歳月が流れました。事業活動のあい間をぬっての収集のため、注いだ力には時期によって、おのずから濃淡の差があります。しかし、一貫して日本の前衛作家に焦点をあて、独断と偏見をモットーにコレクションを続けました。 その間、一切人まかせにせず収集してきましたが、一堂に集めて眺める機会にめぐまれませんでした。今回の国際美術館のご厚意は、コレクションの将来像を探る意味からも大切にしたいと深く感謝しています」

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死後、68作家約170点が兵庫県立近代美術館に寄贈、売却されたが、今回の展覧会は山村コレクションの最大規模の展示になっていると云う。尚、展示は29日まで。

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 会社勤めのあとも超零細出版社銀紙書房を続けながら、コレクションを諦めることなく、公立の美術館で幾度も展示をさせていただき今日までに至ったわたしの幸せを、山村徳太郎さんの業績に重ねて思う。有難うございます。