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昨秋、パナソニック汐留美術館で催された『分離派建築会100年』展が6日(水)から京近美に巡回(3月7日迄)。楽しみにしていたこともあり、コロナ禍での観覧制限発生(?)前に拝見した。建築の展覧会は、観せ方に工夫が必要なので、今回のベニヤを多様したチープな会場構成は、時代の雰囲気を現してまずまずの成果だと感じた。一次資料が収められたケースを留めるネジ釘が露出、模造木目と相まって、書籍や目録などが生き生きとしている。これは、堂々とした帝冠様式に立ち向かう自由主義の機運、とはいえ、分離派建築会を旗揚げしたのは「東京帝国大学」の卒業生たちだったので、おのずと、見方に制限がかかる。建築は国家や資本、権威に結びつくから「芸術」と宣言するのは難しい。---というか、続かない。
この部屋のみ、撮影可。こうした空間、パチリ好きには好ましくありません。
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雑誌、書籍、ポスターなどの一次資料がベニヤ仕切りの中、展示品で覚えておきたいのは、後藤慶二『辰野博士作物集図』油彩・1916、建築断片の『旧豊多摩監獄の煉瓦片』採集・1977 1983、正面図に影が入り図面が絵画であると知る--矢田茂『卒業制作 職工長屋 正面図』1920、大判で迫力あふれる--『東京中央電信局 小パラボラ アーチ頂上のフロッタージュ』採集・1968などの他、模型では瀧澤眞弓「山の家」1921/1966、「紫烟荘」2020、「東京朝日新聞社社屋」1988、彫刻でオズヴァルト・ヘルツォーク『アンダンテ』1918、モジリアニみたいなヴィルヘルム・ケレームブルック『もの思う女の頭部』。写真雑誌の誌面展示(18頁分)で堀野正雄の「鉄橋に関する研究」、写真網目印刷が表現技法に認められた感---ちょっと複雑。会場パチリが出来なので、個人的には盛り上がらないのだけど、毎日新聞社による「実写 関東地方大震災」の25分におよぶ映像には釘付けとなりました。
寒いので、Café de 505 の焼きカレー 火傷しそうだけど旨い、休憩の後、再度、入場。