三和銀行京都支店 柱頭

in『モダン建築の京都』展 2021.9.25-12.262021.10 三和銀行京都支店 柱頭
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  ブログ「モダン建築の京都」シリーズとしては、建物が現存しないので例外となるが、遺物が置かれている場所に意味があるのでお許し願いたい。四条烏丸西北角にあった三和銀行京都支店の「巨大なコンポジットオーダーの柱頭」である。2007年に解体され、同地に建てられたラクエのビルに2010年移転展示。三和銀行京都支店は1952年竣工: 大林組、設計: 三和銀行建築家。鉄骨鉄筋コンクリート造り、地上5階地下1階建て。「極私的建物探訪総合目次」のサイト・銀行建築の流れによると ── 

「この建物のオーダーはおそらく日本最大級で、建物4階分の高さがあるもの2本が正面玄関に鎮座していまます。内部に関してはそれまでの銀行建築に見られた豪華さ重厚さは全くなく、機能性が重視された簡素なものとなり、これまでの銀行の専売特許であった歴史様式意匠からは全く懸け離れたものです。外観に関しては、この建物が様式建築からの決別建築で、これを最後に銀行建築の意匠に歴史様式的なものは見られなくなり、簡素な意匠の建物へと移項していったのでした。私には『さよならの代わりに巨大なオーダーを置いておきます。しかもそれは最も美しく、造作に手間の掛かるコリント式です』と建物に言われているようです」とある。同行が東海銀行と合併しUFJ銀行となったのが2002年1月、バブル崩壊と両銀行の派閥抗争からの混乱で2005年1月に東京三菱銀行と合併し三菱東京UFJ銀行と変わって消滅。


LAQUE四条烏丸 / アーバンネット烏丸

LAQUE四条烏丸 から烏丸通東を望む、左に三井住友銀行京都支店、右に東京三菱UFJ銀行京都支店。

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下図は竣工当時の三和銀行京都支店、大林組70年略史( https://www.obayashi.co.jp/chronicle/70yrs/t3c4.html )から引用させていただいた。

[メモ] ウィキによると「オーダー」というのは「古典主義建築の基本単位となる円柱と梁の構成法で、独立円柱(礎盤、柱身、柱頭)と水平梁(エンタブラチュア)から成る。一般的にトスカナ式(英語版)、ドリス式、イオニア式、コリント式、コンポジット式(英語版)の5種類を指す」。→  オーダー (建築) - Wikipedia コンポジット式についても、解説あり。

[ときの忘れもの拙稿] 『小さなカタログ、見上げる建築』 『親しげなヴォーリズ建築』