「ランチタイムとディナーショー」in ときの忘れものブログ

『Le manche dans la manche ou le marteau sans maitre (筒の中の柄または「主なき槌」)』(ダイカット絵葉書)

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 東京・駒込の画廊「ときの忘れもの」のブログにDIC川村記念美術館で開催中(〜2023年1月15日迄)の『マン・レイのオブジェ 日々是好物|いとしきものたち』展について寄稿させていただいた(11月18日掲載)。題して「ランチタイムとディナーショー」→ 

http://blog.livedoor.jp/tokinowasuremono/archives/53485963.html

 

 「さて、館内のレストラン ベルヴェデーレでランチをしていると、学生時代にロサンゼルスでホームステイをしたことのある友人から、『フォークの向きが違うけど、どちらが正しいの』と問われた。会場の最終コーナーに置かれた『ミスター・ナイフとミス・フォーク』のオリジナル(1944年、東京富士美術館蔵)と再制作(1944/73年、セゾン現代美術館蔵)の差異である」など、読者の皆様には、楽しくお腹いっぱいになっていただけること間違いなし、と思うが、最終段の「Le manche dans la manche (ル・マンシュ・ダン・ラ・マンシュ)」について、補足しておきたい。フランス語では同じ綴の単語でも冠詞によって男性名詞か女性名詞かを表し、意味が変化する。アメリカ人のマン・レイは笑ったのだろうな、「マンシュ」のダジャレ、Le manche(男性名詞)は (道具の)柄、(俗語で)男根 la manche(女性名詞)は 筒、管、袖。以前読んだI名誉教授の解説では「『筒のなかの柄』といえば『抱き込まれた男根』の意にもなる」そうで、大槻鉄男らの「クラウン仏和辞典」によると、形容詞に使えば「不器用な」となるようだから、金槌で活を入れようなんて魂胆かしらね。
 尚、「主なき槌」を意味する「le marteau sans maitre(ル・マルトー・サン・メートル)」は、ルネ・シャールの詩集(エディシヨン・シュルレアリスツ、1934年刊)の題名で、フランスの作曲家ピエール・ブレーズの同名の作品(1955年演奏)のテクストは、この詩からとられたという。

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DIC川村記念美術館のレストラン ベルヴェデーレでランチ。おいしゅうございました。