「ときの忘れもの」のマン・レイ展


東京・青山にある「ギャラリーときの忘れもの」がマン・レイ展(4月3日-25日)を開催される。それで、綿貫不二夫オーナーがギャラリートークをしませんかと声をかけて下さった。マン・レイ・イストとしては嬉しいお話である。マン・レイに関しては公立の美術館の展覧会がしばらく続いたので、街の画廊で商品として並べられるマン・レイ作品は、ワクワク・ドキドキして、コレクターにはこたえられない。そんな訳で、トークの打ち合わせと展示品の拝見に、久しぶりで上京。

 東京といえば神田古書店街に行かねば気が収まらない。10時前にJRお茶の水駅で下車し、東京古書会館での「城南古書展」から覗く。眼の前の棚から先客が毎日新聞社刊の濱谷浩の写真集「雪国」を抜いた。「アッ」遅かった。値段はいくらだろう、残念・残念。こちらは金子光晴と外山卯三郎の雑本2冊を求める、合わせて850円。源喜堂書店、ボヘミアンズ・ギルドと回ってから玉英堂書店の二階を訪ね、山本悍右宛の北園克衛書簡を確認---沢山の情報をいただいた。それから小宮山書店の一階で写真集や北園克衛関係の書影を価格と共に拝見---高いな。三階に詩集があるとの表示があったので棚を観て行くと、コルボオ詩集1959年版、グレー地に「Corbeau」の文字(白ヌキ)だけだが、洒落た表紙だ、天野忠装本だからまいったね。同人中島完の献辞がある一本、価格もリーズナブル。そして、目的の田村書店へ。

二階へ上がって扉を引くと、本の山の上にマン・レイのアイロン。ポケット版でジャン・ボードリヤール「物の体系 〜 記号の消費」。そのまま、スナップ写真を撮る。「マン・レイ展のエフェメラ」をお見せしながら偶然は、神のお言葉だねと、世間話。一階で佐々木桔梗氏の「日本の肉筆絵入本 北園克衛を中心に」(書肆ひやね2003年)等を求める。銀紙書房の次回本はここからの引用となるだろうな。魚山堂書店、ギャラリー・かわまつ、ボンダイ・ブックス等をさらに訪問。このところ、戦前からの京都の詩人達に関心をもっているので、古書店歩きでの棚の見方が変わった。京都では先輩達が活躍しているので、棚から発見とはいかない、神田で京都ものを捜さねばならないな。ここまで書いてきて、買っておけばよかったと反省した詩集2冊、予算や勢いが関係するので、地べたの古書店での出会いは難しい。真剣勝負だな。遅い昼食をとったあと、表参道に移動して日月堂へ。


 根津美術館前にあるパレス青山2階、赤一色の店内に入り、「紙モノ大好き」と云う佐藤真砂さんに、「マン・レイ展のエフェメラ」を報告。同病故のお言葉か、この道の険しさ故の励ましか---過分のお言葉を頂き恐縮する。来月までに1冊、準備する約束を楽しく交わす。時間がなくなり急いで南青山まで歩いてギャラリーときの忘れものへ。担当の三浦氏と挨拶。早速、展示予定作品を拝見。メレット・オッペンハイム、キキ・ド・モンパルナス、リー・ミラーなどの女性陣とジャン・コクトーマルセル・デュシャンと云った男前。ストレートの肖像写真にレイヨグラム、ソラリゼーション---サインや裏面スタンプを含め堪能させていただいた(感謝)。展覧会は写真の他に版画やオブジェで構成されるとの事。案内状の原稿も拝見、どのような反応となるか楽しみである。トークショーに参加される方々は、コアな人達だと思うので、マン・レイ・イストとしては、どこに焦点を絞ってトークをさせていただくか、しっかり考えなくては。


[画廊サイトの案内] http://www.tokinowasuremono.com/
マン・レイ展 at ギャラリーときの忘れもの
会期=2009年4月3日(金)― 4月25日(土) 12:00-19:00 *日・月・祝日休廊
4月11日(土)17時より、マン・レイ・イストとして知られる石原輝雄氏をお招きしてギャラリートークを開催します。参加費1,000円(1ドリンク) ※要予約 ご氏名・電話番号を明記の上、メール(info@tokinowasuremono.com)またはお電話(03-3470-2631)でご予約ください。

 7時頃に画廊を出て、綿貫夫妻、三浦氏と共にイタリアンで一杯。美味しい生ハムに白ワイン。いろいろなお話をお聞きした。東京駅まで同行していただき9時発ののぞみ159号で帰宅。ビールを飲みつつ神田で求めた数冊をパラパラ。次の銀紙書房本が進む感触を持った。有難う。