瀧口修造展III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン


21.5×15.5cm 92pp.

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瀧口修造の造形的仕事を青山時代から継続して紹介してきた、東京・本駒込のギャラリー・ときの忘れものが、2014年と2015年の展覧会を記録した図録『瀧口修造展III・IV 瀧口修造マルセル・デュシャン』を刊行した(9月1日付)。デュシャンに関係した瀧口の仕事と、瀧口と交流した芸術家たちの作品が図録で共演し興味深い。テキストも適切で、晩年にかけての瀧口の仕事が整理され、俯瞰し見せていただけた感覚。実際の展示に立ち会えなかったので、ジャスパー・ジヨーンズの『夏の批評家』(セメント、ガラス、他)や荒川修作の<棺桶シリーズ>のミクストメデイアなどを図録で楽しませていただいた(感謝)。デカルコマニーの兄弟や姉妹や夫婦たちが、見開きのページで紹介されると、紙を剥がしている瀧口の「手」を連想してしまった、上手い仕掛けである。こうした「図録」に接すると、公立の美術館に苦言を呈したくなってしまう、いつも、敬愛に裏付けされた情熱が、人の心を豊かにする。--- 批評ではなく情熱を、学者ではなく在野を、無名をつらぬき、好きな事だけを続ければ、花開き、実を結ぶ。コレクターとして美術品の世界が個人的である事を願う。尚、「図録」は一冊2,500円(税別)で10月末までに申込切れた方には、税、送料サービスとの有り難い提案。英文併記なので、瀧口の仕事がますます世界に拡がると期待している。

pp.18-19『マルセル・デュシャン語録』

pp.24-25 ジャスパー・ジョーンズ『夏の批評家』など

pp.26-27 瀧口修造の水彩

pp.64-65 瀧口修造の対となったデカルコマニー

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テキスト 目次
・Personally Speaking 瀧口修造(再録)
マルセル・デュシャン語録について 瀧口修造(再録)
・檢眼圖 だれの証拠品、だれが目撃者? 瀧口修造(再録)
・私製草子のための口上 瀧口修造(再録)
・「オブジェの店」を開く構想に関するノート 土渕信彦
マルセル・デュシャンとマルチプル 工藤香澄