「写真の都」物語 29 ── 杉山さん、ありがとう

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京都 1975年頃 

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 杉山さんはI先輩と二人で四日市から鈴鹿を越えて桂のアパートまで来てくれた。深夜まで話をした時、Iさんから「言葉を曖昧に使っちゃいけない」と指摘されたのを思い出す。杉山さんの写真集『SUD』のタイトル・ページには「ある出会い そして SUDを指向する」とある。この写真集がわたしの原点、青春の「良い出会い」だった。それが、今回の名古屋市美「写真の都」まで続いてきた訳。2015年に形見分けとして預かったとき、美術館で展示したいと思った。おおくの人の助けをかりて実現することができ感無量である、心から御礼申し上げたい。


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『SUD』シリーズのパネル。

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 杉山さんは沢山の写真集を架蔵し、勉強されていた。振り返ってそのように思う。何もないところからは、何も生まれない。「東松照明」を知らない人たちから、何が生まれるのだろう。今の若い人たちにとっての「東松照明」が誰れなのか、教えてくれたら嬉しい。